先日、私は「偏執狂」のごとく大腸癌について調べたことをお伝えした。

元同僚が言うように、私は関心のあることなら、一旦始めると「極める」までやりたくなる質なので、その点では「偏執狂」かもしれない。

 

そこまで調査する必要はないが、癌の治療は長期間にわたるため、どんな治療法があるのかぐらいは把握しておく方がいい

癌の部位によって使う抗がん剤や分子標的薬は異なるが、一定のレジメンが何種類かあり、今どのレジメンに従ってどの段階の治療を行っているのかを把握しておけば、次に医者が何を提示してくるかが分かる。それが分かっていれば、次の処方について「予習」ができる。

何も分からず医者の言うままにやってると、弱ってきた時に不安だけが高まっていく。

 

さて、前にもお伝えしたとおり、うちのモラ夫は初期の頃、腫瘍マーカー(CEA)は3万を超えていた。それが最初の抗がん剤と分子標的薬で徐々に下がり、万単位から千単位に、1000を切って3桁になり、2桁にまで下がった。

この処方は実に効果があった。特に分子標的薬のパニツムマブ(商品名ベクティビックス)は効果絶大だった。

 

私はさらに追加として「フコイダン」を勧め、モラ夫も納得して飲み始めた。

腫瘍マーカーはさらに下がり、なんと!30ぐらいにまで下がって安定していた。

「効果あったやん!」私はそう思った。

 

ところが、モラ夫は「フコイダンを飲むと腹が詰まる」と言いだし、ある日、「腹が痛い!吐き気がする!」と苦しみ騒ぎ出した。それで、病院に電話して緊急で診察してもらうことになった。

診察した医者はいつもの医者ではなく若い女の医者だったが、患者の様子がおかしいのでいつもの腫瘍内科ではなく、消化器科に回してくれた。

消化器科の診察の結果、ストーマを造設することとなり、緊急手術と相成った。

癌告知を受けてから1年と数ヶ月が経過していた。

 

その頃はコロナ真っ最中で、簡単に入院病棟に立ち入ることもできなかった。

そのため、私は待合部屋で数時間待たされ、ようやく手術が終了した。

その時、この待合部屋に入院中のオッチャンが来て、しばらく会話した。

この人は腎臓癌で、片方の腎臓を手術したものの、今度はもう一方の腎臓まで悪なって、透析せなアカンようになったと言うてた。

今どうしてるのかは分からん。もう亡くなってるのかもしれん。

 

手術が終わり、モラ夫が手術室から運び出される際に執刀医から簡単な説明があったが、とにかくこの医者が早口で、ダダダダダ~と説明されただけで、こっちから質問する間もまく行ってしもた。

覚えているのは、「横行結腸がダルダルになってた。横行結腸の終わり領域にストーマを造設した」ということぐらい。

 

モラ夫はストーマ造設に至ったのはフコイダンのせいだと思い込んでいるが、執刀医の話からは、それは関係ないと思われる。

その後、モラ夫本人に消化器科の担当医から詳しい説明があったはずだが、本人に聞いてもその内容はすっかり忘れとった。

 

モラ夫は1週間ほどで退院し、ここから悪夢のストーマ地獄が始まった。