「ストーマ地獄」の話に入る前に、私とモラ夫の状況概略をお伝えしよう。
モラ夫氏が闘病中、私はインターネットや書籍であらゆる情報を収集した。
1つは大腸癌ステージ4の治療方法
多数ある治療のレジメンも完全に把握し、使用する抗がん剤と分子標的薬、その組み合わせ、免疫チェックポイント阻害剤についても理解していた。
2週間ごとに病院でもらう検査表についてもその数値の意味を完全に理解できるようになったし、CTの画像についても、原発性の肝癌と転移性の肝癌の違いが分かるまでになっていた。これには医者自身も感服していた。
モラ夫はこの件についてはほとんど関与しなかった。
その理由を私は問いただしたことがあった。やつの回答は「気が弱いから自分の病状を正確に把握するのが怖い」というものであった。
というわけで、医療関係については医者対応を含め、全面的に私が担当することとなった。
2つめはもちろん、癌患者家族=第2の患者の境遇について。
これは調べまくった。「大切な人が癌に。どう支えたらいいのか」というテーマは山ほどあったが、私が求めていたのは「モラハラ癌患者との闘いぶり」だった。
前にも書いたが、このブログでやっとその仲間を見つけることができた。
さて、癌患者への対応について、ある医者が次のように述べていた。
癌患者への接し方として、「今までとは違って変に気を遣うのは良くない。今までどおりに接してあげて」と。
しかし!そんなことできるはずないやろ!
嘘と思たらあんた(医者)やってみ?!
医者て、医療のこと以外はほんまに適当なことばっかり言うてるよな。
そもそも癌患者は既に抗がん剤の直撃を受けて以前とは違う人間になってるちゅうの。今までどおりになんか接してたら、毎日が阿鼻叫喚の地獄になってまうわ。
確かに、癌になる前は私も「吉本新喜劇・未知やすえ」状態になったことはよくあった。でもな、癌が発覚して、しかも余命の限られたステージ4の癌患者に対して「未知やすえ」になることはさすがの私もでけへんかった。そこまで「アスペルガー」ではない。
だからどうしても気は遣うし、圧倒的に強く出ることはできなかった。
第2の患者にとって、それがまた鬱屈した気分を誘発することになった。
2019年7月末に癌告知。直腸癌ステージ4・多発性肝転移
最初は週に数日仕事にも行くと言うてたが、結局会社は辞めて「治療に専念」することとなった。
それから4年半。癌自体と抗がん剤で体力が徐々に減退し、味覚が破壊され、脳にも影響してさらにモラハラ度が急騰した癌患者への対応で、日々鬱屈した気分に苛まれ、遂には「こっちが先逝きたいわ」とすら思うようにもなった。
その中でも堪えたのは、
1. すでにお伝えした「食ハラ」
2. ストーマ地獄
3. 抗がん剤ポンプ取り外しでの格闘
4. その他諸々の暴言
モラ夫が亡くなった今となっては、記憶の彼方に消えそうになっているが、
今一度その記憶を脳の海馬から引き出して開示していこうと思う。