社会科学後進国の日本であるが、野中郁次郎教授はこの理論で世界をあっと言わした。
知識創造企業
- 知識を創造する企業が個人の「自己超越」を生む-
企業、あるいは組織はなぜ存在するのか?ハーバード・サイモンに代表されるこれまでの組織論では、組織は個人の情報処理能力の限界を克服する手段であり、階層構造や分業体制をつくり専門化することで、ある目的を効率的に達成するものであった。このことは、20世紀初頭にフォードが考案した自動車の大量生産システムを例にとればわかりやすい。自動車を一人で組み立てるにも、またそのような技術を有する職工を養成するにも大変な時間と費用がかかる。しかし、自動車の組み立てという仕事を多数の細かな行程に分解し、多数の労働者に割り当てることにより、自動車を早く安く大量に生産することが可能になった。
ここでは、組織はいわば情報処理機械と考えられる。組織にとっての課題は、現実(自動車)をどのように分解し割り振れば、効率的な情報処理(自動車の組み立て)ができるか、ということになる。
こうした規定の目的を達成する為に、環境の変化に反応して情報処理を行うための組織という見方では、過去に経験のない新しい知を創造するイノベーションを説明できない。
しかし、企業を「知識を創造する主体」としてとらえれば、「自己超越のプロセスとしての組織」という側面が見えてくる。組織は環境の変化に対応するだけでなく、新しいアイディア、製品、プロセスといった知識を常に生み出していくことによって、能動的に自己を取り巻く環境を変えていくのである。つまり、組織は単に人間を管理し機械的に情報を処理する手段ではなく、個人が自己の成長を達成するための自己超越の「場」として考えられる。先の例で言えば、フォード・システムでは労働者は自分に割り当てられた工程にのみ専念すればよく、仕事の全体像を知る必要はない。ここでは労働者はそれが技術的・費用的に可能であればロボットに置き換えられる存在である。しかしロボットと人間の違いは、ロボットはあらかじめプログラムされた仕事しかできないが、人間は新しい知識を創造できるという点である。同じ自動車の生産でも、トヨタ生産システムにおいては労働者は自分の分担する工程のみならず、その前後の工程、さらには自動車生産ライン全体のことを考えることを求められる。そうして培われた現場の「知」は改善提案を通じて共有化、システム化され、その結果、生産システムは絶え間ない改善(自己超越)を続ける。したがって知識創造の主体としての組織にとっての課題は、個人のもつ知をいかに共有し、そこから新しい知識を創造するか、そしてその中で個人がどのように自己超越を達成できるかである。知識層増企業の理論は、こうした組織観に基づき、企業が知識を能動的に創造するプロセスを明らかにしようとするものである。
出所:「知識創造企業」by 野中郁次郎・竹中弘高
知識創造企業/野中 郁次郎

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知識創造企業
- 知識を創造する企業が個人の「自己超越」を生む-
企業、あるいは組織はなぜ存在するのか?ハーバード・サイモンに代表されるこれまでの組織論では、組織は個人の情報処理能力の限界を克服する手段であり、階層構造や分業体制をつくり専門化することで、ある目的を効率的に達成するものであった。このことは、20世紀初頭にフォードが考案した自動車の大量生産システムを例にとればわかりやすい。自動車を一人で組み立てるにも、またそのような技術を有する職工を養成するにも大変な時間と費用がかかる。しかし、自動車の組み立てという仕事を多数の細かな行程に分解し、多数の労働者に割り当てることにより、自動車を早く安く大量に生産することが可能になった。
ここでは、組織はいわば情報処理機械と考えられる。組織にとっての課題は、現実(自動車)をどのように分解し割り振れば、効率的な情報処理(自動車の組み立て)ができるか、ということになる。
こうした規定の目的を達成する為に、環境の変化に反応して情報処理を行うための組織という見方では、過去に経験のない新しい知を創造するイノベーションを説明できない。
しかし、企業を「知識を創造する主体」としてとらえれば、「自己超越のプロセスとしての組織」という側面が見えてくる。組織は環境の変化に対応するだけでなく、新しいアイディア、製品、プロセスといった知識を常に生み出していくことによって、能動的に自己を取り巻く環境を変えていくのである。つまり、組織は単に人間を管理し機械的に情報を処理する手段ではなく、個人が自己の成長を達成するための自己超越の「場」として考えられる。先の例で言えば、フォード・システムでは労働者は自分に割り当てられた工程にのみ専念すればよく、仕事の全体像を知る必要はない。ここでは労働者はそれが技術的・費用的に可能であればロボットに置き換えられる存在である。しかしロボットと人間の違いは、ロボットはあらかじめプログラムされた仕事しかできないが、人間は新しい知識を創造できるという点である。同じ自動車の生産でも、トヨタ生産システムにおいては労働者は自分の分担する工程のみならず、その前後の工程、さらには自動車生産ライン全体のことを考えることを求められる。そうして培われた現場の「知」は改善提案を通じて共有化、システム化され、その結果、生産システムは絶え間ない改善(自己超越)を続ける。したがって知識創造の主体としての組織にとっての課題は、個人のもつ知をいかに共有し、そこから新しい知識を創造するか、そしてその中で個人がどのように自己超越を達成できるかである。知識層増企業の理論は、こうした組織観に基づき、企業が知識を能動的に創造するプロセスを明らかにしようとするものである。
出所:「知識創造企業」by 野中郁次郎・竹中弘高
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