韮崎大村美術館開館15周年記念「劉生・麗子・夏子-愛の肖像-」2022.12.3~2023.2.26【韮崎大村美術館】

 

 

麗子が夏子に話したという「いつか父・娘・孫の3人展を開催しようネ」という言葉が実現した「劉生・麗子・夏子-愛の肖像-」展。展示スペースは決して大きくはないものの、父と娘、母と娘、そして、幼い姿から亡くなる年までの"麗子像"に出合える展覧会だ。

 

父・岸田劉生が幼い娘を描いた〈麗子立像〉、モデルとして有名な岸田麗子自身が描いた〈自画像〉や〈少女像(夏子像)〉、麗子の娘・岸田夏子が母を描いた〈輪廻転生〉や〈二人の麗子(矛盾)〉。想いが織り重なるようにお互いがお互いを描く三世代の肖像。

 

麗子が描いた〈1923年8月の思出〉は、父・劉生が麗子の肩を抱きながらにこにこと微笑んでいる姿が印象的で、仲睦ましい親子の日常の様子が伝わる作品だ。

また、麗子による風景作品や、夏子の自然をテーマにした作品も興味深く、それぞれが画家としての自分の道を目指していることを感じる。

 

特に岸田夏子は、桜をモチーフにした作品を多く手掛けており、同館所蔵の〈ハーモニー〉や〈甲斐駒の春〉は、身近な風景への憧憬とともにあたたかな気持ちになる作品だ。

 

 

企画展示室の奥はいつもどおり常設展示室になっており、上村松園、小倉遊亀、掘文子、片岡球子、入江一子など、時代を象徴するかのような女流画家たちの作品に出合えるのも楽しい。

 

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韮崎大村美術館
山梨県韮崎市神山鍋山1830-1

http://nirasakiomura-artmuseum.com

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