Arthur Golden
Memoirs of a Geisha

『SAYURI』の原作、やっと読み終わりました。ふ~。
映画は結局見逃してしまいましたが、
アカデミー賞ではいろんな部門でノミネートされてるようだし、
DVD化のあかつきには、是非観てみたいと思います。

さて、祇園の舞妓、芸妓の世界については、
この『Memoirs of a Geisha』で取材協力もしたという
岩崎峰子さんの著書を2冊読んでいたこともあって、
ほんのちょっとだけは、どういう世界かの知識がありました。

でも、正直なところ、岩崎峰子さんの本を読んだときより、
「祇園」のイメージは、下がりましたね、私のなかでは。
今では、祇園も、岩崎さんや、この小説の主人公Sayuriの時代ほど
栄えてはおらず、舞妓さん、芸妓さんの数も激減しているようですが、
それはそれでもったいないことかもしれないけれど、
少なくとも、人身売買的な理由からではなく、
個人が自分の意志で花柳界に入る(あるいは入らなくても良い)時代になって
よかったな、と思いました。

結局のところ、この小説で起こるさまざまな悲劇、運命の皮肉ないたずらの
ほとんどは、Sayuriの姉的存在だったMameha(豆葉)が語っているように、

We don't become geisha because we want our lives to be happy;
we become geisha because we have no choice

だからなんですよね。
それに、娼婦と芸者の違いというのが何度も語られているにもかからわず、
いや、語られているからこそ余計に、
祇園が、きらびやかな衣装や、舞や唄などの芸で、
長い年月をかけて巧妙に洗練された
ある種、グロテスクで悪趣味な、色欲の世界という印象をもってしまいました。
男の欲望を利用せずには成功のあり得ない世界。
Sayuriの水揚げ(芸者が初めて性的体験をすること)の競りや、
彼女の「旦那」が決まるまでの過程は、正直読んでいて不快でした。

Sayuri自身、そうした芸者としての運命に動揺したり、
絶望したりもしていますが、
物語の後半では、彼女のことをずっと想ってきたNobuの、
彼女の旦那になろうという申し出を断るために、
別の男との見せ掛けの逢瀬の現場を、
Nobuに見せようなどという計画を立てたりもします。
ここは、小説のクライマックスでもあるわけですが、
愚かで哀れな策略とは思っても、ヒロインへの共感なんてのとは程遠かった。
ほんとに最後までSayuriには共感できなかったなあ。
映画で、チャン・ツィー演じる彼女を観れば、また印象が変わるのでしょうか。


じゃあ、この小説が面白くなかったのか、と言えばそれはまた別で、
華やかな見せかけの裏にあるドロドロした欲望や思惑の鬩ぎ合い、
戦前・戦中・戦後の激動の日本、
京都の自然や伝統文化のため息の出るような美しさが、見事に表現されています。
本当に描写が細やかで、とくにSayuriたちの美しい着物の柄の描写や
芸者の化粧の過程の描写などは、繊細、かつゴージャスで見事。
日本文化を英語で説明したい、などというときに真似したい表現がたくさんありました。
大人になってから、ちゃんと京都を旅行したことがないのですけど、
もし行く機会があったら、その前にもう一度読み直したいとも思います。

ところで、Sayuriの人生に深く関わる二人の男性、Chairman(会長)とNobu(延)。
Chairmanのモデルが松下幸之助、
Nobuのモデルが三洋電機の井植歳男という噂があるとか。
このことは読む前に知っていたので、それを意識しながら読み進めたのですが、
他に登場する歌舞伎役者や画家、力士や軍人などにも、おそらく実在のモデルが
いるのだと思います。たぶん、「わかる人にはわかる」というレベルの。
もし、私にわかるだけの知識と教養があれば、
この本、もっと面白かったんだろうなあ。ちょっと興味があります。






読みたい本だけは、たくさんあります(増える一方)。

以下、そのリスト。2006年春までに読みたいもの。
読み終わったら消していこうっと。

『Memoirs of Geisha』  (06/02/04読了)
『Pride and Prejudice』
『Oliver Twist』
Chronicles Narnia
The Da Vinci Code
『In Her Shoes』
あと270ページです。やっとChiyoが、舞妓Sayuriになったところ。
映画のほうは、いよいよ今週の金曜日で上映終了らしく、
締切が迫っています。きゃ~っ!!
ちゃんと読み終わって、観に行くぞ。
paperbacksと申します。
名前の通り、このblogは
ペーパーバックについてのものにしようと思ってます。

うちには今、30冊以上のペーパーバックがあります。
そのほとんどが途中で挫折した、
いわば「タンスの肥やし」ならぬ「本棚の肥やし」。
ちょっとこれでは情けないなあ、と
最近、英語学習再開に目覚めている私は、
飽きっぽくて根気がない自分でも読める方法を考えてみました。

それが、映画の原作を読むということ。
これって別に目新しいやり方ではないと思うし、
肥やし状態のうちのペーパーバックの何冊かも映画の原作です。

ただ、今回のやり方の違うのは、
ちゃんと映画に行く日をスケジュールに組み込んで、
それに向ってちゃんと読書計画を立てて読むということ。
只今、その第1冊めに着手しているところです。

blogでは、「読み終えた」ペーパーバックの感想と、
その映画の紹介を書いていきたいと思っています。

ペーパーバック初心者の方、
文庫本を読むのと同じ感覚で楽しんでいらっしゃる上級者の方、
映画ファンの方……。
いろんな人に楽しんでいただけるblogにしたいなと思っています。
どうぞよろしくお願いします。