トラビアン物語 | cherissez le petit

トラビアン物語

トラビアン(ブラウザゲーム)を舞台にしたお話を書きました


つたないものですが楽しんでもらえたら光栄です


なお、私のブログのこれ以外のエントリーはトラビアンとはぜんっぜん関係ない


オタ臭漂うものですので、見ないほうがいいと思います。

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ある日神様が言いました




「麦200束と引き換えに、君の村を守る巨大な軍隊を送ろう!」




村長さんは「これはありがたい」と喜んで早速神様に麦を供えます




そして半日が過ぎた頃、村にお客さんが現れました




「神様が軍隊を送ってくださったんだ!!!」




村長さんが出迎える」とそこには





一匹のかわいらしいねずみさんがいたのです




「あの…あなたが巨大な軍隊ですか?」




村長さんは恐る恐る尋ねました




「そうさ!今日からオイラがこの村を守ってやるよ!」




小さいねずみさんの大きな宣言を


村長さんはやさしい笑顔で迎え入れました






ねずみさんがきてから村はにわかに活気付きました




なにせねずみさんはその小さい体で一日に麦を24束も食べてしまうのです


働かないわけにはいきません




村人は「しょうがないのが来ちまったなぁ」と笑いながら


麦を刈ったり、粘土を掘ったりしています




その様子を村の一番高い丘で村長さんは嬉しそうに見ています








「君が来てから村のみんなの笑顔が増えたようだ」




ねずみさんは村長さんの肩の上でえらそうに言います




「お前も見てばっかいないでちゃんと指示を出せよ!」












ところがある日、村にとんでもない事態が起こりました




まだ鳥すら目を覚ましていない明け方のことです




村にざわめきと悲鳴が広がりました




あわてて様子を確認しに行くと




そこには見知らぬ男どもが村人を拘束して刃物を向けていました







「よお、あんたが村長か。簡潔に俺の希望だけ伝える。


 人質に怪我をさせたくなかったら、村にあるありったけの資源を持ってきな。」




村長さんは初めての出来事に腕はブルブル、脚はガクガク


このまま消えてしまいたい気持ちです




でも”村長さん”に恐れてる暇はありません


早く資源を集めて差し出さなくては


村人もさぞかし怖い思いをしているでしょう








数刻の間に村の資源は侵略者の前に集められました




脂汗がじっとりとにじむ顔で村長さんは侵略者を見据えます




「これが村の資源全てだ。人質を解放してくれ」




「…まあコレぐらいの規模の村ならこんなもんか」




侵略者は資源を抱えて村から去っていきました








村長は周りを見渡しました。みんなとても疲れた顔をしています




「今日は怖い思いをさせて申し訳なかった。


 これからは防御体制についてもしっかり考えていこう


 しかし、みんな怪我が無くてよかった」




「よくないやい…」




村人達がうなづく中、小さな声が聞こえてきました




「ぜんっぜんよくないや!村の皆のプライドはズタズタじゃないか!


 村長の腑抜け!!!オイラがあいつらやっつけてやる!」




そう言うが早いかねずみさんは飛び出していきました




はっとわれに返った村長があわてて後を追いましたがどこにも姿が見えません




小さな体で森の中を駆け抜けて行ってしまったんでしょうか








村長さんは必死でねずみさんを探し回りました




どうか生きていておくれ、プライドよりも資源よりも


なにより大切なのは、君や、村人たちの笑顔なんだよ…








太陽が頭の真上から照りつける頃




小さなオアシスで




小さなねずみさんを




村長さんは見つけました








それはまだほんのりあたたかくて




ただちょっとつかれてねむっているだけのようでありましたが




なんどなまえをよんでも




なんどゆりおこしても




にどとめをあけることはありませんでした


















それから少しの時が過ぎました




今日も村長さんは丘の上から村を見渡します




一仕事終えた商人を衛兵がにこやかに迎え入れています






















「もう二度と村人の笑顔を失いたくない」




その日、ねずみさんを土に埋めた手を村長さんは皆に見せました




「こんな悲しい手を見るのは、今日で最後にしたいんだ」






そうして村人達は小さな軍を結成しました




名前はねずみ軍




皆の笑顔はこれからも少しずつの勇気によって守られていくことでしょう










おわり