Ø アジア重視策はTPPを承諾させるための交換条件
米国は、「中国の脅威から米国が守ってやるから、言うとおりに市場開放して米国の大企業を儲けさせろ」という意味のことを言っている
Ø TPPは、米国の大資本が利益を拡大する土壌づくり
TPPは世界に展開する米国の大企業は、発展するアジアでさらに利益を拡大することを正当化するための手段
米国の大企業は米国政府を使い、日本など米国の言いなりになっている“属国”を言いなりにさせ、自分勝手なルールをつくろうとしている
Ø 米国にとって日本はそれほど重要でなくなった
米国(の大企業)にとっては、経済規模が急拡大するアジア諸国での経済利権の拡大が最重要課題
経済大国の地位さえ危うい尻すぼみの日本より、何億人もの貧困層が中産階級になって消費が急拡大している中国を重視するのは当然
Ø オバマ大統領の中身のないお土産
オバマ大統領尖閣諸島が日米安全保障条約第の適用対象であることに言及し、拉致被害者との面会では「被害者のことを思うだけで居ても立ってもいられない気分」と話したが、日中が戦争を始めても米国の銃口が中国を向くことはない。
そんなことをすれば、米国企業が中国にもっている利権が吹っ飛んでしまう。
25日午前、オバマ大統領が離日する直前になって、ようやく日米首脳会談に伴う共同声明が発表されたが、過去に例を見ないくらいに中身のない共同声明であった。安倍首相は「両国にとって画期的な声明になった」と述べたが、麻生副総理は秋の米国中間選挙まで進展はないだろうと本音の感想を漏らしてしまった。
共同声明では「包括的なTPPを達成するために必要な大胆な措置を取る。両国は2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」としたが、「まだなされるべき作業が残されている」ともされ、交渉妥結に向け両国が努力する姿勢を強調した。要するに「何も決まらなかったが、何も決まらなかったとは言えないので、努力している姿勢だけPRしよう」ということだ。
《アジア重視策はTPPを承諾させるための交換条件》
今回、オバマ大統領は「アジア重視策」を掲げて来日した。これは、米国が日本やASEAN諸国などの中国の台頭に脅威を感じている国々にたいし、「俺たち強力な軍事力を持っている米国が、中国の脅威から守ってやるから、言うとおりに市場開放して米国の大企業を儲けさせろ」ということだ。
政治や経済のニュースをあまり見ないような人に関心をもたれて騒がれると困るので、直接的な表現は避けて「アジア重視策」とよんでいる。
日々、中国海軍の軍艦が尖閣諸島に接近したニュースなどを繰り返し見せられている選挙民は、TPPの本質について考えることもなく矮小化された部分的な損得の議論ばかりさせられている。
今回米国が掲げている「アジア重視策」とは、米国の大企業が「これからもっとアジアで儲けられるようになることを重視している」という意味が大きい。
《TPPは、米国の大資本が利益を拡大する土壌づくり》
今日の世界では大企業が国家の政策に与える影響力を拡大し、世界の秩序がこれまでとは違ったものに変わってきている。世界で最も大企業から影響を受けて、その御意向にそうように政策を展開している国が米国だ。
いま米国の大企業が利権獲得の手段として最も関心を持っているものの一つがTPPだ。その本質は、米国の大企業が利益を拡大するのに都合のいいルールを押し付けようとすることだ。
TPP交渉各分野の中で米国が妥結に最も強い意欲を持っているのが特許や著作権など知的財産の分野だ。米国にとって知財は自動車や農産物の分野をはるかに凌ぐ12兆円もの市場規模持つドル箱分野だ。
マスコミの誘導か怠慢、あるいは日本政府の方針のいずれかによって日本国内ではあまり報じられないが、米国はこの分野であり得ないような要求をつきつけてきている。
もし、米国の要求通りにTPPが締結されれば、アジアのTPP参加国の人たちは、法外な特許料や著作権料を米国の大企業に支払っていかなければならない。
米国はその代わりに、多くの大企業とは縁の薄い農業分野を犠牲にしてバーターの材料に使おうとして、米国の農民を激怒させている。アジアのTPP加盟国に勝手なルールを押し付けて大企業が儲けることができれば、ほかの米国民が損をしても気にしない。
米国の大企業は利権を獲得するためには手段を選ばない。
《米国にとって日本はそれほど重要でなくなった》
米国の大企業にとっての日本の魅力が年々薄れている。TPP交渉が始まる前に、日本には“規制緩和”や “規制改革”などと称して、郵政民営化や邦銀による外資系保険商品の販売開始など、様々な重大な国内政策の変更を強要し、日本が意図していなかった政策の変更を押し付けることに成功していたから、すでに米国の大企業はすでに日本で散々利益をあげた。
まっとうな企業経営者は将来ついても株主が納得できるようなビジョンを語らなければならない。もちろん、米国の大企業の経営者であっても状況は同じだ。
経済規模が急拡大する地域と、いまは経済大国とよばれているが尻すぼみにその地位から滑り落ちそうな危険性を感じさせる地域とを比べたときに、まっとうな企業経営者はどちらを選択するだろうか。
米国の大企業は、中国には追い抜かれてしまったものの、いまのところは経済大国の地位をかろうじて保っている日本を捨て去りはしないものの、経済規模が急拡大しているアジア諸国に今後の重点を置くだろう。
10年20年先を考えれば、日本から搾り取れるものは多くない。
高齢化が進み、やがて人口まで減少していくことが確実視される日本より、中産階級が増え消費を確実に増やしている中国を本音では重要視するのは、当然の成り行きだ。
《オバマ大統領の中身のないお土産》
日本の政府やマスコミは、尖閣諸島について「米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約が適用される」と共同声明に初めて明記したことなどをふまえて「両国にとって画期的な声明」と評している。
しかし、日中が現実に戦争を始めるような事態に至った時に、米軍の銃口が中国を向くことなど現状では考えられない。そんなことをすれば、米国の大企業が中国にもっている利権が吹っ飛んでしまう。
しかし、毎日のように世界中のあちこちで米国人が不条理に誘拐されたり拉致されたりする事件が多く発生しているが、米国政府が国外で被害にあった自国民を本気で助けようとすることはめったにない。事件の発生地域を責める口実として利用価値がある場合や、被害者がマスコミに顔が効いて、政府の対応不足を責めたてるキャンペーンを張ることができたような特殊な場合を除いて、米国が人道的な活動をすることは少ない。
どうして北朝鮮による日本人の拉致被害者をたすけるために、米国が実際に動いてくれると信じられるだろうか。
日米共同声明には「力による現状変更に反対する」との記述があるが、自国の大企業の経済利権を法外に拡大するために、TPPを通じてアジア諸国に「力による現状変更」を求めているのが、そもそも米国ではないいか。
願わくは、一日も早く日本が世界のダイナミックな駆け引きに耐えうるような知恵と将来ビジョンをもつようになってもらいたい。
また、オバマ大統領の「拉致被害者家族への同情」を好意的に紹介している。