2週間近く前になるけど、母が入院した。


かかりつけのクリニックには常に診てもらっていたのだけど、

ひと口のご飯も食べれなくなり、さすがにこれは総合病院で精密な検査をしてもらわないと判断し、紹介状を書いてもらった。


総合病院では、ほんの10日前にもCT検査をしてもらったばかり。

異常はなく健康体だと言われたのだけど、今回は心臓がおかしいとこちら側から伝えて、心臓中心に検査してもらった。


結果は即入院となり、それもかなり重篤な状態だとのこと。

ドクターからは「これが見納めです」と覚悟を決めさせられるような言葉ももらい、どん底に突き落とされました。



コロナ以降の病院では、病棟によっては面会は一切できなくなり、私達家族はこのまま母を見ずに見送らなければいけないのかと、途方に暮れた。





電話だけは繋がるので、日々、母の声を聴いていたのだけど、どんどんと生きる気力を失って行く様を目の当たりにし、病院で直談判し、なんとか二日に一度、10分、1人だけと言う約束のもとで、面会を取り付けた。


面会であった母は泣きじゃくるばかりで、帰りたい帰りたいを連呼するだけで、こちらの話しなど届かないような感じだった。


そんな母を見て、私も覚悟を決めた今日、ドクターからの説明があり、姉と共に病院に行った。


ドクターは開口一番、「回復傾向にあります。一時の危機的な状況からは抜けたと思います。」とのこと。

それまで私と姉は、覚悟を決めていたので、構えていたのだけど、一気に緊張が解放された感じだった。


ただ、90歳という年齢による衰弱は如何とも出来ず、感染症だけは退治できるだろうとの見通しだ。


母は家に帰ることができずに、このまま病院で生命を失うと思っていた私には、それがどれほどの勇気になったか。

そしてそれを電話で伝えた母にも、生きる気力が戻ってきたように感じる。


人間には必ず寿命があって、90歳になる母はすでに全うしたようにも思うけど、やはり一人で旅立たせたくは無い。


面会が出来ない時に思ったこと。

感染症に敏感になるのは、人の命を預かっている病院としては、面会謝絶はやむを得ないことだし、ドクターやナースも家族に会わせてあげたいと願っていると感じた。

そしてその中に常にいる厳しさや、そして優しさも感じることができた。


みんな苦しいんだと思う。


母の病との闘いはまだまだ続くけど、今回のことで、病院との意思疎通がはかれたことは、自分にとっても意味のある時間だったと思う。