初めての方は、ぜひ1話目から読んでいただけると嬉しいです↓
結婚から1年半が過ぎた。
私たちは二人の生活をエンジョイしていた。
ダブルインカム、二人での収入は安定していた。
夏休みにはグアムでダイビングをしたり、
仲間夫婦4組で温泉旅行に行ったり。
しかし妻は倹約家のしっかり者で、生活費は私の給料だけで収める。
自分の給料は貯金や保険に回す。
これが後のひとり親生活を助けてくれることになるのだけど。
いい事ばかりではなかった。
妻のお父さんは、妻のことをとても大切にしていたので、嫁に出してしまった寂しさからいじけてしまい、いろんな我儘な行動をとっていた。
朝から家を出て、夕方酔っ払って帰ってきたり。
それで運転して、自損事故を起こしたり。
妻はできるだけ実家に帰ることを心がけていた。
私の仕事は、前の会社の同僚、大学時代の先輩や同期を通じて、東京横浜の仕事が増えていた。
1ヶ月をかけて全国をまわる展示会の仕事も決まり、順調だった。
当然出張も多くなり、家をあけることも多くなっていた。
そんな時妻は実家に戻り、両親との時間を過ごしていた。
ある意味いいバランスだったかと思う。
その日、私は某メーカーさんの新製品発表展示会の仕事で、大阪の現場にいた。
大学時代の部活の先輩の繋がりでいただけた仕事。
徹夜の作業だ。
携帯のない時代、ホテルに妻からのメッセージが来ていた。
「至急電話をください」とのことだった。
私はお義父さんに何かあったのかと思い、慌てて電話をした。
夜の23時過ぎだったが、電話には妻が出た。
「どうしたの、お義父さんなんかあった?」と私。
妻は「大丈夫だよ、ただね大変なことになったんだ〜」
「なになに?大変なことって・・・なんなの?」
「君はお父さんになれるかな?」
それが長女を妊娠したという一報だった。
「もしもし・・・もしも〜し」という妻の声。
私は呆然としていたが、我にかえって「やった、やったな!!」と。
そのあとのことは憶えていない。
実はこの時、私のホテルの部屋にはもう一人いた。
デザイン会社を経営している、高校大学からの友人だ。
一緒にこの展示会のディレクションを行なっている。
私は呆然としてそれからの仕事は手につかず、彼がすべてを取り仕切ってくれた。
偶然なのだが、彼も半年前にまったく同じような状況で長男の懐妊を聞いていた。
その時は私が現場を取り仕切っていたのを思いだす。
(この時の彼の息子と私の長女にも、この先に不思議な縁が生まれてくる)
二日後、家に帰った私は、妻を思い切り抱きしめた。
いろいろ忘れているけど、そのことだけは記憶している。
10, 結婚出産編 〜出産の苦しみと喜び〜 に続きます。
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