捨てられたものに命を吹き込み再生する。
(TEMO ASIMO DENAI 手も足も出ない)手はスピーカー、足は棚を壁に取り付ける金具。
頭の上にはブレッドボードに取り付けた怪しいLEDなど。これは全部はまだ点灯していない。電源をどこから引くかが分からないから。赤LEDは点灯しているが、この辺りはサンハヤト製の「暗くなると自動点灯するLEDキャンドル」890円、(せんごくネット通販)を乾電池で作動させている。
DVDドライブが顔。右目はPower SW とLEDで昔のemachinesに付いていたもの。左目の金具は何の金具か分からないがちょうどLEDの頭が入るので取り付けて、HD LEDとした。
と、思いきや、腕(スピーカー)は横に広げられます!
マザーボードとCPUファンを守るのに、餅焼き網を手で微妙に湾曲させて取り付けてある。
ケースファンは要らない。部屋の空調風で十分冷える。
背板は上部の白い板と下部の杉板の間が5cm程開いているが、
これはマザーボードのCPUの裏から流風で冷やすための工夫。
マザーボードはスペーサーで板から浮かして取り付けてある。
この辺は芸が細かい。
電源からの各線はコード束ね用のマジックテープがビッグカメラに売っていたので買ってあった。なかなか重宝、タイラップに比べて付け外しが簡単で使いやすい。
出来上がりがすっきりとして風の通りも良く、よいものだ。
お腹はADATAのSSD 120GB
昨年12月に姪の結婚式に呼ばれて披露宴に出席したときのことである。隣席に米国在住の夫婦がいて、その夫君が言うには、「私の家にあるパソコンは全て自作です。自作だと自由度があっていいですね。」と熱く語る。そんなものかな、と聞いておいたが、今年になって、ひょんなことで私のパソコンが壊れた。それで、直そうとして友達にメールで問い合わせたり、パソコン屋に電話したりしているうちに結局CPUの破損であることが判明した。
そこで、パソコン屋に相談して、i3マシンであったものにi5-2400という、より速いCPUを購入し、ついでにマザーボードもそれに対応するASROCK製 H61M-GSを購入して取り付けることにした。それらは、初めての試みとして、自宅で、自分で組み上げることにしたのだった。結果は、非常に上手くいった。壊れたi3マシンは速い最新のi5-2400, 3.10GHzに変わったのである。初自作PCである。ちなみに、それまでのマザーボードは1,300円でそのパソコン屋が買い取ってくれた。壊れたCPUもジャンク品として10円で買ってくれたのだ。そういう世界があることがはじめて分かり、自作というのもいいな、と思ったものである。そして、なによりも、壊れたパソコンが自分の手で息を吹き返したときの喜びは大きかった。自作パソコンの世界にはまったのである。これが記念すべき第1号である。これに要した全費用は1万4千円程度のものだった。新しいパソコンを買うのに比較すれば、8~10分の一位である。パソコンの自作は「創る喜び」を得られるだけでなく、費用の節約にもなるのである。
この「1号機」の経験から、パソコンはCPUとマザーボードを変えれば性能が大きく変わるということが分かった。そこで、家にある他のパソコンにもそれが適用できないかと、検討することになった。書店で自作関係の雑誌を何冊か買い求めたり、ドスパラなどの自作PCパーツ通販サイトを見たりし始めたのである。
そのうち、中古パソコン屋にあったジャンク品のPCを8,980円程で購入してきた。それはハードディスクがなかったので、中古のハードディスク(2,490円位だったと思う)を買ってつけて動かしたり、不法投棄で捨てられていたパソコンを拾って直してみたり、いろいろと作ってはばらし、部品をあっちからこっちへ移し、組み替えたり…等々、様々に楽しんでいるうちに、結局7号機まで作り上げていた。
それで、道具箱を見てみると、使わなくなった部品や、金具、ねじ類、それに前に作っていた棚の部品の木っ端や金具類、色々とたまっている。整理して捨てようかと眺めているうちに、ちょっと遊び心が出てきたのである。
ひとつ、ロボット型のパソコンでも創ってみようか…。
設計図なしで、板の切れ端や金具を組み合わせて金具でとめたり、捨てる予定のマザーボードを合わせてみたり、しているうちに、なんとなくロボットのように出来上がっていくのが面白く、不思議でもあった。
最後は、壊れかかったハードディスクでは気の毒だからと、新しくSSDの120GBを購入(ドスパラで7,980円。安くなったものだ。)して、ロボット君に奢った。
このロボットPCには名前をつけることとした。ホンダのロボットはASIMO(アシモ)だから、こちらはそれをもじって、
TAD君(Temo Asimo Denai 手も足も出ない)である。
妻が、手も足も出ないじゃ困る、と言うから、それじゃあ
Tondemo Asimo Domo (トンでも アシモ ドーモ)だよ、と煙に巻いておいた。この原稿はそのTAD君で書いている。とても使いやすい。まず、机の上でパソコン然とした四角い箱が見当たらないのがいい。場所もとらない。もち焼き網のカバーしかないから冷却用のケースファンもなく静かだ。(CPU Fanと電源内のファンのみである。)
SPEC:-
Intel(R) Celeron(R) CPU G530 @2.40GHz
Mother Board: GIGABYTE H61M-DS2
MEMORY 4GB
OS: WINDOWS 7 Ultimate 64bit
本田総一郎も戦後陸軍解体で処分放出された通信機用の発電用小型エンジンを買い取って、それを自転車につけて簡易バイクとして売り出したのがホンダ・オートバイの黎明期だった。
ということを思い出した。捨てられるはずのものが新しく命を得たのだ。そして、短期間のうちに世界一のオートバイメーカーとなり、四輪車も作り始めた。 S500, S600, S800は今でもヴィンテージカーとして愛されている。
捨てられた命を救い、甦らせる。創造の中でも特に喜びが大きいものではないだろうか。