除夜の鐘がまったく響き渡らない日本唯一の自治体

禅宗寺院の茶室の茅葺きも順調に進んでいる。

今年は不思議。

禅宗の寺院の仕事が続く。神社ではない。お寺さん。

　偶然というべきか、私の中では暗示するものがある。

現場感覚でふと思った。

　寺院にはお坊さん、修行僧がいる。経典の読経を中心とした修行がある。その多くは形骸化しているのかもしれないが、教えが存在し、修行僧が存在する。

かたや八百万の神が信仰の対象で、あらゆる自然物に神が宿ると考えられている神社には、経典はない。修行者がいない。

　近年までは、この事についてさほど違和感がなかった。

が、しかし、今は、この違いは、想像以上に大きなものがある、いや、それどころか、日本が世界の中で、経済的、政治的リーダーシップにおいて、どんどん存在感が低下していった最大の原因ではないかと。

　神道に経典がないということ。教学がないということ。

それを補ってきた「神仏習合」の伝統が、明治維新で吹き荒れた廃仏毀釈により一部破壊されたことの弊害が、今、ピークとして立ち現れている。

　私の住む岐阜県東濃地域は、島崎藤村の「夜明け前」にも描かれているが、平田派国学が栄えた土地柄で、多くの門人が輩出されている。勤王家として東濃地方の中心的存在であった間秀矩（はざまひでのり）も平田門人であった。彼は、夜明け前の主人公青山半蔵の旧友として登場する蜂谷香造のモデルであった事は、地元では有名な話だ。

　さて、私の生まれた地域は中濃であるが、苗木藩の所領であったらしいが、苗木藩こそ、平田派国学の思想を徹底し、もっとも過酷な廃仏毀釈を断行した。現在の東白川村は、日本で唯一、除夜の鐘が聴けない自治体として有名である。東白川村は明治初期、藩内寺院17カ寺すべてが打ち壊され、現在に至るまで、1カ寺たりとも復活していないのだ。

　廃仏毀釈による仏教寺院の破壊が、１５０年以上を経て、日本人の心象風景になお影響を与えている。そんな文脈の中で、新春から（廃仏毀釈を生き残った）寺院の修復に携わっているとこに「意味ある偶然」を感じている。

【補足】

※平田派国学

平田篤胤（あつたね）が樹立し、その養子の銕胤（かねたね）、孫の延胤（のぶたね）によって維持発展された学問

その学風は「神道はわが国の大道にして、天(あめ)の下治(しろし)め給う道なれば、儒仏とならべいうまでもなく、掛けまくも可畏(かしこ)けれど、上(かみ)は天皇をはじめ奉り、下(しも)は万民に至るまで、儒仏を棄て、ただひたすら神道を尊(たっと)まし奉らん」とし、わが国古道が卓越していることと復古神道の立場を強調し、「政道は、神国の御風儀にて、神慮によって世を治め給い、神祭をもって第一とする」ことを説き、王政復古、復古神道の確立と祭政一致を目指すものでした。

https://www.vill.higashishirakawa.gifu.jp/.../haibuts.../...

我が党の政調会長と、平田篤胤の間には、浅からぬ縁があったという。(笑)

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