2001/12/20帰天
あれから22年の歳月が流れた。

俳優南原宏治さん。

　氏が残された『遺言』を、過去数回紹介させて頂いたが、また紹介させて頂きたい。

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その遺言とは、
南原さんが主演した短編映画『洪庵と1000人の若ものたち』（1963：緒方洪庵没後百年記念作品）のリバイバル上映をして、鑑賞して欲しいというものでした。

以下、1991.12月の南原宏治さんのお話の一コマです。

「皆さんにお願いしておきたいことがひとつあるんですけど、誰か忘れない人がおられたらお願いしておきたいんですが、私、『緒方洪庵』という映画を撮ってるんですね。
　木村荘十二という名匠です。

この方が今から二十数年前だったんですけれども、『緒方洪庵』という映画を撮りましてね、その時の主役が私なんですね。その時の女房奥さん役が市原悦子さん。

　非常に名作、名映画だったんですけれども、商業主義から離れていたものですから、大した評判にはならなかったんですが、これはどうか、私が亡くなった後、皆さんで覚えている人がありましたら、あの映画をもう一回再上映してもらいたいというような、ひとつ、運動をやってぜひ観て頂きたい。

　素晴らしい映画だったんですね。後世に遺るような名作だったんですけど、時代が利アラズでして、二十数年前、ちょっと早すぎるんですね。

私はいつもやることが早いんですけど、どうしても緒方洪庵やりたくて、木村荘十二という名監督、それが最後でもう亡くなられましたけど、そういう映画がありますので、私が亡くなった後、アンコール上映でやって頂けるとありがたいと、そういうふうに思います。」

　下の動画では、実際に南原さんが語っておられます。

短編映画同好会などでは実際に、この映画の上映会を行っていますね。

『洪庵と1000人の若ものたち』
1963年/55分/白黒　緒方洪庵没後百年記念映画
制作■ＭＯＭプロダクション　配給■共同映画
企画■適塾記念会　協賛■田辺製薬(創業285年記念)
製作■松本酉三・金丸益美
脚本・演出■木村荘十二　脚本■山形雄策・瓜生忠夫
撮影■黒田清己　照明■沖茂　美術■小林三郎　編集■河野秋和
録音■アオイ・スタジオ　音楽■小沢秀夫　助監督■沢登祥恵　
協力■劇団俳優座　劇団俳優小劇場　劇団新人会　東京芸術座
出演■南原宏治(緒方洪庵) 市原悦子(妻八重) 山本清(福澤諭吉)
　　　内田透(箕作秋坪) 佐伯赫哉(村田蔵六) 上田忠好(大鳥圭介)
　　　左奈田恒夫(長与専斎) 永井智雄(緒方郁蔵)
　　　稲葉義男(大和屋喜兵衛) 松本克平(伊東玄朴)
　　　武内享　中野伸逸　矢野宣　神山寛　山崎直衛　袋正
　　　福田豊士　松野健一　小川治彦
語り■小林昭二　山崎直衛
蘭方医・緒方洪庵が大阪に開いた「適塾」。福澤諭吉・大村益次郎……
明治の先覚となった門下生たちの青春群像劇。

監督：木村荘十二（1903~1988）　東京芝三田に生まれる。木村荘十二は独学者で、帝キネの字幕書きから助監督になり監督になった。最後の傾向映画作家（左翼的傾向を帯びた映画）と言われたが、その後、エノケンの喜劇から文芸映画、社会派リアリズム映画、歴史映画的な本格的な時代劇など、じつに多様な作品をつくり、それぞれに才気を示す。戦争の時代になると戦争協力映画をへて満映に移る。戦後は中国共産党に協力、毛沢東その他のポスターの絵などを描いて生活した。53年に中国から帰国してからは、主に児童映画の仕事をした。画家木村荘八は実兄。『日本映画の巨匠たち 2、学陽書房』より抜粋。
※監督木村荘十二は、武者小路実篤らが創設した「新しき村」に参加し教育を受けた。

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