石丸構文・考 | 加納有輝彦

石丸構文・考

石丸構文でメディアは大盛り上がり。

 

東京都知事選で、蓮舫を抜き第二位の得票を得た石丸伸二氏(41歳)は、今や、テレビ、ネットにおいて3選を果たした小池都知事以上の注目を浴びている。

 

 テレビでは、まさに時代の寵児扱い。

 

ところが、数々のインタビューにおける石丸氏の嚙み合わない問答に関し「石丸構文」と言われる批判が続出してきた。

 

私の娘もそれを話題にするほど。

 

 私自身は、それほど石丸氏の記者会見を見たこともないので、あれこれ論評する立場にはない。が、多くの識者が彼を批判しているので、一部の批判をつまみ食いして見てみた。

 

 その中で、石丸氏と同年の作家古谷経衡氏の「石丸伸二評」は見応えがあった。

 

古谷氏が投稿した『石丸伸二から感じる耐えがたい危うさ 古谷経衡 猫と保守と憂国(日刊ゲンダイ)』、『東京都知事選で石丸伸二氏を支持した「意識高い系」の空っぽさ』等の論考は、大変耳目を引き、評価を得ているという。

 

 残念ながら、私はそれらの記事(有料)を読むことができないのですが、7/11(木) 21:45~ プレミア配信【古谷経衡・石丸氏、耐えられない危うさ/モラルどこへ、底が抜けた日本社会/同い年、内側から語る右翼】は無料で見ることができた。https://www.youtube.com/live/Ms2sIJo1yPs?si=RTjSqATsIHSlG6TZ

 

 2時間近く、石丸評を滔々と展開した。

 

大変、興味深い論点がいくつも開陳された。ほんの一部であるが印象に残った論点を共有したい。

 

 石丸氏が尊敬する人物として、橋下徹、ホリエモン、百田尚樹、櫻井よしこ、上野千鶴子氏等の名があがっていることに関し、古谷氏は、これらの名が同時に共存しているとしたら、実際、石丸氏は、彼らの著作を熟読しているとは思えない。熟読していれば、共存することはあり得ない。と評した、


 この批判に関しては、石丸氏本人は、学生時代、産経新聞と朝日新聞の両方を読んでいて、大変勉強になった。正反対のものを読んで、知的バランスを取ることは大事なことと言っている。

 

 石丸氏自身は、これらの批判を「有名税」とやむを得ないものと考えているようだ。

 

 また、選挙中の石丸氏の街灯演説は、5分刻みで主に3つの柱を繰り返し主張していたという。最初に自己紹介、銀行に就職し、ニューヨークに赴任したこと。2つ目は、広島安芸高田市の市長としての業績をアピールした。市長としてYouTubeに議会の様子などをアップしたおかげで議会の「見える化」を図った。私が都知事になれば、皆さんに都議会の様子をもっと見られるようにします。

 

 このような簡単な演説に終始し、政策はほとんど語られなかったという。

 

これらの演説の定型から、古谷氏は、彼には政策へのパッションがない。中身空っぽと批判した。

 

 この中身のなさが、2時間の映画を通しで見ることのできない、早送りして15分くらいしか集中力が持たない、本を読むこともできない東京の若者のマスと呼応関係にあるというのだ。

 

ゆえに、今回の若者の石丸氏への支持は、決して「政治不信」でもなんでもないというのだ。知力の低下したマスの頽廃(たいはい)現象そのものだというのである。政策もなく、政治思想もなく、存在しているものは、YouTube動画における「再生回数」を増やす技術のみであると。

 石丸氏の言い分も紹介すべきと思うが、これほど多くの識者が、石丸氏への嫌悪感を露わにしている事実は無視できないであろう。

 

 石丸氏は、「悪名は無名に勝る。」「批判も有名税」と、彼のYouTube戦略の勝利の証と受け止めているのであろう。

 

 広島安芸高田市長として、普通であれば、なんの興味も持たれない立場でありながら、議会と徹底的に対立し、エッジを効かせ、議員の無能さ(居眠りをする。一般質問しない。説明責任を果たさない。)を徹底的に糾弾し、再生回数を増やすことに成功し、登録者も数十万人に達した。

 

とりわけ石丸市長が市議の数を16から8に半減させる条例改正案を提出した時に、「恥を知れ!」と反対する議員に対して放った言葉は、大いに注目され賞賛された。(条例案は否決)

 

 ただし、居眠り議員として多くの非難を浴びた武岡隆文市議は、実は、「睡眠時無呼吸症候群で、居眠りの時は無症候性脳梗塞を起こしていた」という医師の診断が出た。

 

 しかし、石丸市長は、その診断書の届をシュレッダーにかけた。

 

そうこうするうち、武岡隆文市議は、居眠り議員という汚名を晴らすことのないまま、病死した。

武岡市議の無念に同情する市民も少なくないようだ。

 

しかし、「恥を知れ!」という一世一代の大芝居(3日間考え抜いたという)は大いに全国に石丸氏の名を弘めた。

 

 石丸氏のYouTube戦略は、大成功を収めたのである。

 

再生回数を増やす技術、議会を無能呼ばわりし馬鹿にし、喧嘩を厭わない、エッジを効かせ再生回数を伸ばす。

 

 石丸氏が安芸市長を辞職し、後任で当選した市長は、アンチ石丸派の藤本悦志氏であった。
藤本氏は、こう言う。『石丸みたいなむちゃくちゃなやり方じゃだめだ、安芸高田市はカンカンになって怒ってる、あんなのが東京行くようだったら、東京は壊滅するぞ』と。

 

 

 これが、YouTube動画の再生数を増やした事の代償であろうか。

 

さて、ここまで石丸氏への批判を中心に書いてきた。喧嘩両成敗の観点から、一方的に過ぎるかもしれない。

 

 古谷氏の批判に接して、ふと頭によぎった事がある。

 

それは、大川隆法総裁先生の箴言である。

 

 一つは、橋下徹氏への言葉、アドバイス。

「もう少しジェネラルな教養を学んで欲しい」

 

ジェネラルな教養とは、古典でもありましょうが、畢竟、仏法真理であると思います。 

ある識者は言う。石丸氏には、せめて「惻隠の情」はないのか。

 橋下徹氏へのアドバイスであったが、何やら、石丸氏へのアドバイスにも感じられなくはない。

 

 それにしても、石丸氏の問答に関しては、切り取り報道で、持ち上げ、反転、貶めようとしているマスコミの常道手段が見え隠れする。

 

 テレビにとっては、持ち上げ、捨てる、そして視聴率を稼ぐ、格好の餌食にもなろう。消される仕掛けを認識しつつ戦い続けるガッツはありやなしや?

 

 

 

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