認知科学系の名著に『ファスト&スロー』という本があります。

この本は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが書いたもので、人間の性質を理解するのにとても有用です。もちろん子どもへの対応にも応用できるため、時間がある方は読んでみてはいかがでしょうか。

 

たとえばこの本の中でプロスペクト理論というのが出て来ます。雑に要約すると「人は得をするときと損をするときで評価が異なる」という理論です。もっとかみ砕いていうと「人は得をするよりも、損をしたくない生き物だ」ともいえるでしょうか。

 

これをどうやって子育てに応用するかというと、たとえばご褒美のあげ方に適用できると思います。

 

たとえば「サピックスの毎回の小テストで100点をとったらテレビを30分見せてあげる」というご褒美ルールにしていたとします。

このルールを、損失回避傾向を利用して以下のようなルールに変更します。

  • 一週間分のご褒美の権利を先にあげてしまう(週9回小テストがあるので、9回分の権利を最初に渡します。紙とかでチケットみたいなのを作った方がより効果的かも)
  • そして、テストが終わるたびに確認し、100点じゃなかったらその権利を一つづつ返してもらう
  • 週末に権利行使

このようにルールを変更します。

そうすると、ご褒美の量は変わらないけれども、より本人にとって損失を多く感じるようになり(最初は9回もできるはずだったのに!)、100点以外を取りたくないという気持ちが高まります。

 

実際に我が家でもやってみていますが(ご褒美はテレビとかではありませんが)、いまのところ本当に劇的な効果をみせています(笑)

 

ご褒美効果が薄れてきているご家庭は、試してみてはいかがでしょうか?