下町に住むアカーキイ・アカーキエウィッチは
仕事一筋の真面目な下級役人だった。
その冬、ボロボロになった外套を
やっとの思いで新調するが、帰宅途中で追い剥ぎにあい、大切な外套を奪われてしまう。
警察や有力者に助けを求めるがまともに相手をして貰えない。失意のどん底に落ちたアカーキイの運命は……


ロシアの小説家ニコライ・ゴーゴリの1842年の短編小説です。
外套を盗まれるアカーキイも悲惨ですが、当時のロシアの労働者の虐げられた生活や有力者の独裁的な状態も描かれていてなかなかシリアスなお話です。




アルベルト・ラトゥアーダ監督が1952年に
レナート・ラシェル主演で『外套』を製作しています。
こちらのアカーキイはカルミネという名前に変わっていて、髪の毛もしっかりあって(笑) ゴーゴリの描くアカーキイは下町の貧乏役人という感じで見るからに悲壮感を漂わせていますが

こちらのカルミネはちょっととぼけたひょうきんものという感じ。

原作と少しだけ違った部分もあり
(アカーキイが必死で貯金するところがカルミネはいきなりボーナス貰ったりとか)
それはそれでストーリーはしっかりしていたので楽しめました。

カルミネは町の住民達から苦しい生活を町長に直談判してくれるように頼まれますが、
なかなか思うように町長に話せず 葛藤する場面もあり、原作にはあまり書かれてなかった部分が強調されていました。

この辺は当時あからさまに書けなかった、本当はゴーゴリが言いたかった部分なのかも…と思います。

主演のレナートさん、なかなかイケメン(イケオジ?)ですが調べてみるとこの方歌手でもあったようで
とぼけた役がよく似合っています。


ラストも基本的には原作と同じでしたが、原作よりも明るい終わり方?でしたねー……。

この『外套』は短編アニメーション映画などで知られる映像作家ユーリー・ノルシュテインが30数年前からアニメーションを制作中です。
いまだに未完成ですが
冒頭部分だけはYouTubeで観られます。
切り絵で動くアカーキイが清書する場面はとても芸術的です。



ユーリーさん80を越えられてますが
なんとか完成させていただきたいものです。


映画『外套』はAmazonプライムで
ユーリー・ノルシュテイン『外套』はYouTubeで

ユーリー・ノルシュテインの外套を製作するドキュメンタリー『外套をつくる』はU-NEXTで

それぞれ観られます

ニコライ・ゴーゴリの短編小説は
青空文庫で無料で読めます
ぜひ

(^^)d