現在はロレアルグループの子会社である既存の「Stylenanda」の化粧品ブランド3CEが、この10年間中国で商標権をめぐって続いてきた紛争が最終判決で勝訴し,ついに幕を閉じました。

 

 

L'Oreal S.A.社(親会社はロレアルグループ)と子会社のNANDAが「3CE」シリーズの商標権の侵害と不公正な競争を理由にウーなど5人の被告を起訴した件について北京海淀区人民法院は、被告による「3CE」ロゴの使用行為は商標権侵害に当たり、被告は製品の包装及び装飾、製品名、会社名などにおいて偽造行為及び虚偽の宣伝行為を行ったと判断し、経済的損失と合理的な費用として計1040万中国元を賠償するよう命じたそうです。

 

 

【L'Oreal S.A.社の商標 【ウーたちが所有している商標】

 

 

訴訟では以下のいくつかの点について主張しました。

 

①ウーの子会社及びそのディーラーによる「3ce」、「3CE」ロゴの使用行為は、商標権侵害に当たる。

 

②ウーによって登録され、その子会社によって使用されている3ce.ccドメイン名は、侵害行為に当たる。

 

③被告側の化粧品の包装、装飾及び製品名は3CEの同類製品と類似している。

 

④被告はNANDAの英語名NANDA及び韓国名㈜「난다」を使用している。

 

⑤被告側はスローガン「SINCE2004」を使って虚偽の宣伝を行った。

 

 

裁判を経て、法院は被告に商標権侵害行為と不正競争行為をやめるよう命じたほか、被告の公式ウェブサイトに紹介されている中国全土に700以上のカウンターを持っている点、一部の被告のディーラーの月間売上高が20万元に達成するなどの点や、侵害行為の持続時間が比較的長いなどの要素を考慮したうえ、被告に、経済的損失及び権利保護のための合理的な費用として計1040万元の賠償判決を言い渡しました。

 

ロレアルが3CE商標をめぐって勝利を勝ち取ったのは実は、今回が初めてではありません。

 

L'Oreal S.A.社は2020年にも、広州市ワンシン貿易株式会社と広州市珠児麗化粧品株式会社に、商品「3CE EUNHYE HUOSE」が「3CE」商標権を侵害したとして、提訴したことがあります。当時法院は被告に、商標権侵害行為を停止するよう、即ち、「3ce」ロゴが鮮明に表記されている化粧品の製造と販売を停止し、且つ、L'Oreal S.A.社に10万中国元の経済的損失と10万中国元の合理的な費用を一緒に賠償するよう、判決を下しました。

 

「3CE Sanxiyu」商標

 

「3CE EUNHYE EHUOSE」商標

 

 

中国裁判文書網の公開情報によると、原告のL'Oreal S.A.社(親会社ロレアルグループ)と被告の広州市ワンシン貿易株式会社&広州市珠児麗化粧品株式会社との間の訴訟は2年間続いたそうです。

実際、本物の3CE(Sanxiyu)と偽物の「3CE」との商標戦争は2012年に始まり、既に10年間続いております。

 

3CE STYLENANDA(Sanxiyu)は、韓国Stylenanda会社が2009年1月に立ち上げたメイクアップブランドであり、韓国ドラマ「Miss You」の人気とともにアジアで急遽広がりました。

 

当初のメイクアップロゴは「3 CONCEPT EYES」でしたが、2012年、「3 CONCEPT EYES」が武漢兰達化粧品有限公司(現在の上海フェンラン化粧品有限公司)によって中国で登録されたせいで、韓国の3CE親会社は「3CE」と新しい三角形logoで商標登録を行うしかなく、それから中国市場で「Sanxiyu」という中国名を使うことになったわけです。

 

 

3CE親会社である韓国のStylenandaも、「3 CONCEPT EYES」の商標権を取り戻そうと、2015年から2017年にかけて上海芬岚を3回も起訴したが、全て却下されました。その後、ロレアルが3CESTYLENANDA(Sanxiyu)を買収することによって、商標戦争がようやく「停戦」に入りました。

 

2018年、韓国の3CEStylenandaがロレアルグループに買収され、2019年に、正式に中国市場に進出することになりました。現在は、L'Oreal S.A.社が、中国本土における3CE Sanxiyuの商標及び製品販売権を全て所有しております。

実際、中国で模造品、偽物と長い時間を経て商標権問題苦労しているビューティーブランドは3CEの他にも多いです。商標を先取りされ、ブランドを複製されるケースも少なくありません。

 

例えば、資生堂の日焼け止めブランドアネッサは「安耐晒」商標が中国企業によって登録されたため、名前を「安熱沙」に変更して登録するしかありませんでした。KIEHL'Sの場合も、中国語名である「契尔氏」が広州の会社に先取りされてしまい、2009年中国市場に参入した時、名前を「科顔氏」に変えるしかなかったのです。

 

幸い、近年、知的財産保護に対する企業の意識も高まってきつつあり、「成都科糸美詩」、「アドルフバイオ」、「広州夢粧」など本物の企業に起訴される偽造業者を対象に、商標権侵害と不正競争行為をめぐった事件で勝つ企業が増えてきたのも現状であります。

 

その他、中国政府も「フリーライディング」「有名ブランドをコピーする」などの商標権侵害行為に対して「これ以上許さない」厳しい態度を示しております。新たに改正された商標法では、商標権侵害者に対する法定刑が引き上げられ、排他的商標権を侵害した悪意のある行為に対する賠償金額が、1倍以上〜3倍未満から1倍以上〜5倍未満に引き上げられ、法的賠償額の上限も300万中国元から500万中国元に引き上げられました。

 

今回、本物の3CE Sanxiyuが商標侵害訴訟の最終判決で勝訴し、海賊版3CEに勝ったことが模倣品に被害を受けてきた多くのブランドに権利保護に対する自信を与えると同時に、ほかの潜在的な侵害行為について警鐘を鳴らすことにもなることを心から期待しております。

 

出処:《美妆头条》ニューメディア