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fumufumuのブログ

ギリシャ・ネタ、音楽ネタを適当に綴っています。
ヘッダー画像はシフノス島のエプタマルティロス教会です。

今年のエントリーの中で、一番聴いて&見ているのはルーマニアで、
ノルウェーのSubwoolferのTシャツ買おうかな、とけっこう真剣に悩んでいる私ですが。

優勝はUKが良かったと思っている。
だって私は、この歌唱で泣いたもの。

Sam Ryder - SPACE MAN - LIVE - United Kingdom 🇬🇧 - Grand Final - Eurovision 2022


切ない歌詞なのに歌う喜びを爆発させて、豪快なのに優しさがあって。
見る人・聴く人にエネルギアを与える歌唱は、今大会随一。


毎年、誰が優勝したって不満が渦巻くユーロビジョンだけど、
私はUKが優勝しなかったことが不満だ。
ものすごく悔しい。
とても良い楽曲を高い歌唱力で歌い上げたのに、
何が足りないと言うのか?(怒


UKは、まずUKであることがハンディを負っているようなもので、
「ESC決勝は、年に一度、英国民が自国が嫌われていることを再認識する日」とか、
笑えないジョークがあったりするほどだ。
確かに2021のJames Newmanの0ポイントはありえない仕打ちだったもんな。
Big5として相当の資金提供をしているのに、近年は成績が振るわず、
「もう参加するのをやめてしまえ」とお怒りの英国民もいるらしい。
国内に世界レベルのアーティストを多く抱えながら、そういった人達には頼らず、
その姿勢をフェアであると評価されなくもないが、
「やる気あるのかBBC」と思っていた気持ちもわかるよな。


そんな「もはやUKにESCは不要論」を、準優勝という結果で蹴散らした。
UK代表であるハンディや情勢を考えたら、もうこれは優勝だろ?
てか、純粋に楽曲とパフォーマンスだけで見たら、これは優勝だろ?


ESCではその国らしさを出して欲しいと、つい言ってしまうけれど、
UKがUKらしさを出すのって難しいよね。
非英語圏の国が母国語で歌うと、それだけでポイント高くなりがちなのに、
UKはそれが出来ない。
(英語以外にも公用語はあるが、それらを使って音楽活動をするのはレアじゃなかろうか?)
音楽ジャンルだって、世界から取り込み、英国から世界に広まったものがあるよね。

Sam Ryderがやったのは、彼が幼少時から親しんだUKロック・ポップス。
年齢的に後追いになっているだろうけど、それはQueenかもしれない。
Elton Johnかもしれない。
私は80年代のPaul McCartneyも思い出したよ。
UKで育った人の体に染みついた、自分に一番心地よいサウンド。
姿は北欧バイキングなのに、骨の髄までUKの音なのだ。


今年の代表Sam Ryderは、バンドのボーカリストからソロに転向。
コロナ禍に始めたTik Tokでの有名曲のカバーが評判になり、
2年で1000万を超えるフォロワーを持つまでになった、Tik Tokスター。
確かに、あのパワフルな歌唱力でカバーしたらひっくり返るわ。
油断していると耳が吹っ飛びますw

喉に増幅装置を仕込んでいませんかw

グラミー受賞経験もある音楽プロデューサーチームも加わって作った「SPACE MAN」。
ESC本選後に視聴したMVも凄く良い。

Sam Ryder - SPACE MAN - United Kingdom 🇬🇧 - Official Music Video - Eurovision 2022


「Tonight Show」のパロディーから始まり、スタジオから上空へと飛び出したSam。
空中椅子(?)で歌う彼と、彼に気づく街の市民の姿を交互に映す。
(撮影はブダペストで行われたとのことだけど、街の設定は英国だろう)
色んな人がいるんだ。英国外にルーツがある人も少なくないように見えるよね。
彼らはSamの姿を見つめ、そっと歌詞をつぶやく。

「SPACE MAN」は少年の夢だけじゃない。
いるべき場所を離れた人、帰る場所を見つけられない人。
地図上の話じゃなく、気持ちの問題だという人もいるだろう。
「thinking ‘Bout what I left behind」に胸を痛め、
「I wanna go home」を噛みしめるのは、地球のあらゆる場所。
「I’m up in space,man」、manはSamの声が届いた、人類への呼びかけ。


ああ、やっぱりUK優勝が良かったな。
UKらしさを満たしながら、国を飛び越えて人類に向けた歌だもの。


その後のSam Ryderは、UKチャートのTop1にのぼりつめ、
女王在位70周年を祝うPlatinum Jubileeのイベントにも出演。

Sam Ryder performs SPACE MAN at the Queen's Platinum Party at the Palace – BBC

国旗柄のオールインワンが似合うことよ。

さらに、戦禍が収まる気配のない、優勝国ウクライナの代わりに、
UKが来年度のESC本選開催国になるという展開。
公式サイトより。

これ、UKじゃなかったら引き受けなかっただろうなあ。

2022優勝はUKだったと、記憶が上書きされそうよ。