普通に生きられない人たち | マリアの憂鬱

マリアの憂鬱

Maria in gloomy time

普通に生きられない人たち 私たちは人格障害とどうつきあえばいいのか/磯部 潮

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タイトルには人格障害とあるが、内容はその中でも境界性人格障害に焦点を当てている。

第5章は「普通」でない人の話し方。ボダがその異常性を見せるのはターゲットと2人きりのとき。ボダは得てして外面が良いから、一度被害に遭った今なら分かる違和感も、知らない時ははついつい見過ごしていた。文字にしてみると改めてボダの異様さが浮かび上がってくる。

第6章では、DSM-IVの診断基準に照らし合わせて、具体例をあげながら彼らの行動特徴を細かく記述していく。あるあるばっかり。

第7章は、具体的かつ実践的な対ボダの心得。ここには「本人だって苦しんでる」「理解してあげて」なんて被害者の気持ちを踏みにじる言葉は出てこない。

例えば、
「しかし、彼らはなんでも受け入れてくれるあなたにしだいに嫌気がさします。これは時間の問題です。まるごと受け入れても、事あるごとに難癖をつけ、理不尽な振る舞いへと変化します。あなたが命を削って対応していても、そこには「倦み」が生じ、そこに彼らは充たされないものを感じます。彼らがそれを感じた時点で関係性は終わります。あなたがどんなに努力したとしても、それは水泡に帰すのです。」
と、気持ちいいくらい辛辣。ボダの習性に「倦」の感じを当てるとはまさに言い得て心強い。著者もひどいボダ被害にあったのではないかと感じずにはいられない。