す今年の秋は暖かく、冬など来ないように勘違いしていたら突然の冷え込みである。慌てて使い捨てカイロを買い込みに走る。備えあれば憂いなし、の逆人生を生きているとつくづく思う。冬物を出していない。夏物は片付いていない。まだまだ薄着でいけると思ったのが甘く、十二月なのだから寒くて当たり前なのに天候を恨む。

年の瀬なのだ。この物価高で、正月用の具材は高騰するらしい。準備の遅い私のことだ。一番高い時期にスーパーの総菜売り場をウロウロするのだろうと予測して今から情けなくなる。

今年の三月に定年退職をして、四月から再任用職員として働いている。これも見込みが甘かった。給料四割カットはわかっていた。そんなにカットされるなら仕事も多少は楽になるのかと思っていたが、例年同様の忙しさ、責任の重さだ。

嘆いていても仕方ない。今までは時間をお金で買うような生活をしていた。料理も時短とばかりに出来合いのものばかり買っていたが、給料が大幅減額だ。なぜ、私が自炊を真面目に始めると物価が上がるのだ。これでは経済対策にならない。

そうだ、電気代を節約しよう。エアコンは極力つけないことにした。かといって石油ストーブの時代にも戻れないから温風器を使っている。小型だからこちらの方が電力は使わない。大変な寒がりなので、今までは夜もエアコンつけっぱなしで生きてきたがそんな贅沢は許されない。

電気式敷き毛布を使っているがこれだけではやはり寒い。電気掛け毛布と合わせて使えば、さすがに暖かいのではないか。エアコンよりはずっと電力を使わない。

口コミを参考に、電気掛け毛布をネット注文した。

届いたら驚いた。どこにプラグ差し込みがあるのか。これは不良品ではないか。しかし、よくみればただの毛布を口コミの「とても暖かい」という言葉に惑わされ、いや、勘違いして購入したのだった。

もうボケ始めたのだろうか。そうは思いたくないので、暖かい毛布を仕方なく使うことにした。

これが、電気毛布ではなかったのは残念だが、口コミどおり、モフモフの暖かさだ。

失敗は成功のもとだ。こういうときに言う言葉ではないかもしれないが。毛布と羽毛布団の二枚重ねでぬくぬくし、間違えて買って良かったと思った。この毛布なら電気代が要らない。

が、翌日猫がその温かい毛布と電気敷き毛布で気持ちよさそうに眠っているのを見て想定内とはいえ困った。猫は絶対に自分のベッドだと信じているため、私が帰宅してもそこからなかなかどいてくれないのだ。

こんなふうに冬を迎え、節約しながら地味にドタバタと過ごす年末である。