可能?不可能?
前回の画像の整理時に面白い画像が出てきました。
数年前に「スミレとの交雑は可能か?(大げさ)」というテーマでやってみた交配です。
植物の分類は「門・綱・目・科・属・種」というレベルで分けられています。
種のレベルで分けられたものは近いものなので交雑する可能性は高いですが、それ以上のレベルで分けられたものは遠い種ということになり、交雑はほぼ不可能です。
(属間ぐらいまではなんとかあります。アマリリス属×クリナム属のアマクリナム、アマリリス属×ネリネ属のアマリネなど)
で、スミレとパンジーは「節(属と種の間)」というレベルで、スミレは「スミレ節」、パンジーは「パンジー節」に分けられています。
節のレベルで分けられたこの2種は「交雑しない」と言われています。果たしてそうか?
ちょうどパンジーの開花時期にトリアシスミレが咲いていましたのでその花粉を交配した結果が下の3枚の画像です。
シャワーパーティ×トリアシ。
母株のシャワーパーティは画像中央の花とほとんど同じ。
ですので、中、左は交雑していない(自家受粉)と思われます。右の花が微妙ですが、このラベンダーパープルは後代はこの色も分離するのでやはりシャワーパーティー内の変異だと言えそうです。
ナチュレ・プラム×トリアシ。
ナチュレ・プラムはローズパープルの丸弁で色の濃淡があります。画像の下から3列目の左から2個目の個体が雰囲気的に似ています。
これらの個体にはその母親の特徴が強く出ているものがあり、おそらくそれは自家受粉。
で、もうひとつそれとは父親が違う別の個体群があります。子供の特徴からするとパープル系の花色で、細弁傾向(側弁が反る様な?)の個体が関係していると推測されます。
歌姫変化×トリアシ。
歌姫変化は見元さんの歌姫から出た変異系統でレッドイエローフェイス。これらは明らかに交雑していませんね。
3種の組合せとも、茎や葉には一切父親の特徴は現れておりません。ごく普通のパンジーの草姿をしています。
果たして本当はどうなのでしょうか?ナチュレ・プラム×トリアシが一番可能性としては高いですが、正直なところ私も分かりません。分かるにはDNAレベルでの検査が必要でしょう。
結果的には失敗のようです。やはり、節間の交雑は難しい・・・。ですが、パンジーに交雑できるスミレの種類がどこかにあるような気がしてなりません。
一番最初に極々小輪のののはな系や細弁のバニー系が出た時には「スミレと交配したのか?」と聞かれたこともあります。でもこれはパンジー(節)でスミレを再現しようとした試み、本当の交雑ではありません。
「駄目だ」と言われているけどやってみる。これも大事なことだと思います。自分が納得するために。