一期一会
種子配布には多くの方から申し込みがありました。ありがとうございました。
時間が取れたので何とか発送終了。と、思ったら追加での申し込み。後からの方は今週中には何とか発送しようと思っています。
申込の方が多かったのと、それを一気呵成にやってしまったので確認はしたのですが、もしかすると漏れがあるかもしれません。17日までに届かない方がいらっしゃいましたらご連絡をください。
また、届いた方で「こいぐらいじゃ足らんけん、もちーぃっと分けてつかーさい」(大河ドラマにはまっています)って方がいらっしゃいましたら再度申し込んでください。数年分送ってもいいですよ。(笑)
さて、「記録が大事、整理が大事」と常々言っていますが、言う本人ができているかと言うとお恥ずかしい次第です。空き時間を見つけてはちまちまやっているのですが、量が半端ないので簡単にまとまるものでもありません。
やんなきゃ終わらない。と、ちまちまデータの整理を始めたら昔の画像がでてきましたよ。
「これはいい!!」って選抜をしたのですが、次代に再現することの出来なかった花たち。まさに、その時だけ。一期一会の花たちです。
フローラルシャワー×雪玉。
‘フローラルシャワー’は以前ご紹介したこともある“しだれ咲き”の品種。‘雪玉’はカルカラータの選抜で白の丸弁。交配によってフローラルシャワーの元の系統の‘ピンク&ホワイト’のような上品なバイカラーに戻りました。そして、這い性。
良い花でしょう?ですが、この花の凄さはここでありません。画像を良く見てください。一株の中に絞りの花が混じっているのが分かりますか?
実はこの花、咲き進むと上弁に絞りが出てくるんです!上弁の中で咲き進むと色が薄くなる性質と逆に濃くなる形質が同居しているという極めて珍しい個体です!ね、すごいでしょう!
花弁にそうでなかったものに絞りが出るのは一番にウイルスの感染が疑われますが、この交配から得られた3株全てにこの性質が備わっていたんです。これはウイルスじゃない!!
狂喜乱舞するとはこのことですね。全く今迄にない性質、誰も見たこともない形質の物が出たんですから。
張り切って種を採りました。ところが、その種からは全く出なかった…。(涙)
残っているのはこの画像と交配記録だけです。交配記録が残っていれば再現できるんじゃない?いつもそう言っているじゃないの。
そう、そのとおりなんですけど、実はこの‘フローラルシャワー’は数系統あるんです。ラベルにはそこまで細かく
書いてないので実際にどの系統を使ったかが分からない。もしかするとその1個体だけのことかもしれない・・・。
再現を試みるのにはかなりの手間と時間がかかりそうで、なかなか本腰を入れられません。
モーリーニーズ×ビビ・アンティークピンク。
‘モーリーニーズ’は‘ブルーブロンズ’と言う名前でも販売されています。これも色変りの系統です。アイの下部分が赤く色づいてきます。
村冨さんの‘艶’に似ていますね。子供は普通のラベンダーピンクの物になっちゃいました。
親はどちらも入手可能ですので、再現は可能かも。ただ、この赤部分がもっと大きくないとインパクトがないですね。
これに‘雪うさぎ’などのレッドブロッチの花を交配したら良かったかなって今になって思います。
ユニコーン×ラッピングローズ。
ユニコーンは見元さんの販売されていない品種。ラッピングローズはそのユニコーンを使った交配。
大輪のバニー咲きを求める中で巻弁の花が出てきました。全く遺伝しない訳ではなく、この後代の中にぽつぽつは出てくるのですが、ここまでの巻弁はありせん。
でも、しつこく?やっていけば巻弁のものはでてくるんじゃないかと、やってはいます。
長くやっていると「あ、これ一期一会だな(再現性が低いな)」ってわかってきます。
栄養繁殖できたらいいなって思うこともあります。株が残っていたら戻し交配をしてその形質をもっと引き出せるからです。おそらく多くのパンジーを含め一年草のブリーダーの方はそう思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。
ですが、私は松永先生の言葉を聞いて、それへの執着が薄れました。
「メリクロンかけたらそこで(進化が)止まってしまう」
全くそうですね、出会いは一期一会でしかないけれど、その一期一会の花に会うために毎年交配し、種を播き続けているのだと思います。
種を送った皆さんにも素敵な一期一会の出会いがありますように…。