早野さんの‘ハンギングイエロー’
18号では、「花の駅伝」という企画があってそれに寄せれられた文章。
笑っていいとものテレホンショッキングみたいに電話(ここでは駅伝ですのでタスキ)を繋げていくわけです。
30号では、早野さんのパンジー・ビオラの特集。
(社)園芸て文化協会主催の新花コンテストの入賞などが紹介されています。
以下、早野さんの紹介分からの抜粋。
‘絞り’
「この品種は毎年実生で絞りが出現するので、絞りの遺伝子を持っていると思われます。ただし、出現率は50%を下回るようです。絞りでは以前にダイグレスという品種がありましたが現存はしません」
‘春の舞’
「コンテナ用に一寸しゃれた鉢に植えて楽しむ花として作出。‘春の装い’に‘ラッフルドレインボー’を交配。両親共に弱くなっていたけれど、この交配種は非常に多花性で盛り上がるようにして咲きます。1999年のコンテストでシルバー賞を受賞」
‘レッドマーブル’
「10年ほど前の実生から出たもの。現存はしないが両親が分かっているので再現中」
こんな花があるのかって驚くでしょう!本当に見事な品種です。
‘オレンジミニ’
「ビオラオレンジと言われる品種(ほとんどが黄色だがリップにオレンジの入る株を使用)を入手し、‘パハラジャ’を交配。1997年の同コンテストでゴールドメダルと会長賞を受賞しました。」
今でこそ、オレンジのビオラは珍しくありませんが、当時は‘チャンテリーランド’いう色も薄くて弱いものしかありませんでした。
実は、このビオラオレンジというのは私が当時育成中であった‘橘姫’という系統です。薄いオレンジで固定中、まだ黄色も分離する代物でした。
1997年は‘ペニーオレンジ’の発売されるずっと前。この品種の発表は関係者にとって一大センセーションでした。会長賞というのがその衝撃の大きさを物語っています。
そして、これが今回タイトルになっている‘ハンギングイエロー’です。
「ハンギングタイプを目標に横に広がるギリシャ原産の‘ボーリエンシス’に‘ベビーイエロー’を交配。非常に良い香りがあります。それ以後のハンギングタイプ(ビオレッタシリーズなど)の先駆けになりました。1996年、同コンテストでゴールドメダルを受賞」
これらの輝かしい受賞歴を見ていると早野さんのすごさが見えてきます。今では見慣れた系統(色、形状等)の先駆けとなっている。なかなか、容易いことではありませんよ。
ただ、残念なことにこれら多くの品種は販売はされていません。私も実物を見たのはわずかです。で、育てたこともあるのがこのハンギングイエロー。
現在の品種に比べると花がやや遅かったりしますが、通常の品種とは異なる原種を親に持つため雰囲気が違うことと香りでやはり受賞品種だなと納得させれます。
この品種はサカタさんに譲られたとのこと。数年前に‘イエローシャワー’の名前で種が販売されましたが、その後はカタログに載っていません。
で、やはり手元にあればいじってみたいのが性分。でもこれが難しい!
ハンギングイエロー×こな雪。
ひとまず小輪化してみようと‘こな雪’と交配。ホワイト&レモンイエローになりました。
園芸種ではなくて、野草という感じで追って行けば何とかなりそうでしょうか。
ハンギングイエロー×コルビネ。
いっそのこと、宿根ビオラ化にしてみるかと‘コルビネ’と交配。う~ん、中途半端なバイカラー。
これは失敗。原種帰りして花が秋から咲かなくなってしまいました。早咲きは現代ではやはり外せないキーワードですよね。
なかなかどうやっていいのかイメージがつかめない。あ、なんかこんな感じどっかであったぞ・・・。そう江原さんのビオラ(ビオラワールド)と同じ感じ。
つまりイメージの完成度が高いとそこで完結してしまう。それをいじる(壊す)にはそれ以上ののイメージ力が必要ってことです。
後に続くものとしては乗り越えていかなければいけない道ですね。一つの試練です。