「彩、良かったな~」
「はい、ご心配かけました」


たかみなと、メンバーの笑顔に迎えられ、元気な笑顔でそれに答える彩

あれから、すでに3日
感染していたら、とっくに死んでいるはずだ


「優子ちゃん、よく決断しましたね」
「あ、まゆか」
「噛まれたとこを切断するって、優子ちゃんしか考えなかったでしょうね」
「それ、褒めてんのか?ははは。・・・」
「優子ちゃん、彩は生きてます。優子ちゃんの決断で今、みんなと笑ってますよ」
「まゆ・・・」


あたしが、彩の無くなった左手を見つめていたのを、まゆは気がついたのだろう

そうだよな・・・彩は生きている。あいつなら・・・大丈夫だ!
メンバーと楽しく談話する彩を、少し離れた場所から微笑み見つめた。




◆◆  ◆◆


「明日、20:00ここを出発する。目的地は、ここだ」


力強くたかみなが指差した場所
都心から離れたその場所は、小さな港
そんな小さな港に、こんな沢山の人数を乗せる船があるのかすら解らないが、さしはら曰く、船の乗り組み員の隠れた休憩ポイントらしい。

大きな港にはすでに脱出を試みた人が殺到しただろうし、船がある可能性も低いという事で、ここを目指すことに決まった。


行ってみなければ解らない。

やってダメなら、次を考えればいいだけだ


たかみなはそんな事を言いながら、私たちの今後は、希望しかないことを訴えた


小さなリーダー
たかみなの言葉には魂がある。だからみんなついていくんだ


「こんな小さな奴にな」
「ん?優子、なんか言った?」
「ははは、いや。よし、みんな出発まで、気をひきしめていくぜー」
「「「「おーーーーー」」」」



◆◆◆

19:50


「優子さん、私はもう大丈夫ですから」
「ばーか。お前は後ろで寝てろ。って、な?先生」
「そうですよ。まだ出血もあるし、感染症とかもあるんですからね。安静に、です」
「あはは、だってさ~先生の言うことは聞かなきゃね」
「は~。わかりましたよ」


病院から拝借した救急車の後ろには、まだ傷の癒えていない彩と

「ちょっと、あんた!」
「お、でたな、でかいの。で、なんだ」
「まひるに、なにかあったら承知しないわよ」
「はいはい、ちゃーーーんと守りま~す」
「・・・マジで・・・頼んだからね」
「おう、任せとけ」


彩の様子を診てくれるために、まひる先生が同乗し、護衛として、銃の腕がいい永尾がつく
そして、あたしの助手席には
「あっちゃん、道案内宜しくね」
「ふふふ、優子も安全運転宜しく」


最初、あっちゃんには、たかみなと一緒に行くように言ったのだけど
彩の様子が気になるから一緒に行くって、こっちの話をまったく聞いちゃくれない
ほんと、たかみなと同じで頑固なんだからな


先頭からバス、バス、トラック、トラック、バス、救急車、トラックの順で走行する予定だ
うちらの救急車の後ろは、あたしが乗るはずだったトラックを運転する、田野と十夢
田野も十夢も腕のいい隊員だ・・が


「十夢~」
「うざっ」
「ツンの十夢も好き~



・・・昔のあたしとにゃんにゃんを見ているようだ・・・



(才加)「バス1号、無事に住民も隊員も乗り込んだ」
(たかみな)「バス2号、こちらも完了だ」
(佐江)「トラック1、こっちも準備オッケだよ」
(珠理奈)「トラック2、行くぜ~」
(さしはら)「バ、バス3号、い、いつでも出発可能です」


無線を通して、仲間達の声が各車両へ届く


(優子)「救急~よっしゃ~みんな出発だぜー」
(十夢)「トラック2、いつでもいけます」
“後ろから、みんなを守るぜ~”
「ちょ、優花うるさいから」
“あ、十夢、無線機音声そのままだ”
「え?あ、ほんとだ」
“も~あわてん坊の十夢可愛い~”
「プチっ」


漫才のような二人のやり取りで、きっとみんなも笑顔になっているであろう
そして、最後に全車両にたかみなの声が流れた



「よし、みんな、希望に向かって出発だ~~」