100メートルは離れてあるであろう場所に、歩く死体が倒れた


(ふっ、この距離中てられるのは私くらいでしょ)


構えた銃を下ろそうとした時、背中から近づいてくる足音


振りむくと同時につかまれる胸ぐら
そして、目の前には、今まで見たことがない、怖い顔の優子さんがいた


「田野、お前っ」
「ちょ、ちょっと怒らないで下さいって。て、いうかこの距離で中てる私ってすごいっスよね?」


優子さんの気迫に押されつつも、私は自分の腕を証明したかった
優子さんに認めてもらいたかったのに。なのに、なんで


「ちょ、ちょっと優子さん、苦しいっス、ゆ、」
「田野、見ろ、周りを見てみろ」


「え?」


優子さんに乱暴に解放された後、私が見た光景は
四方から詰め寄ってくる、沢山の歩く死体たち


「私は、仲間を危険にさらす奴は、許さん」



そこからは何も考えられなくて
目の前でおこってる状況に、何もできなくて立ちすくんでしまっていた



「できるだけ銃は使うな。これ以上増えたら、対処できなくなる。佐江っ、どうだ?まだかかりそうか?」
「あ~うん、タイヤに肉片がこびりついてて、もうちょいかかるわ。ったく、どんな走行したらこんなになるんだよ」

「そっか、みんな、それまでふんばってくれ」
「「「はい」」」




私のせいだ


ふざけて行った行為も、認めてもらうため、ほめてもらうためにやってしまった間違った行動も
いま、大事な仲間を、そして


「優花っ、何ぼーっとしてんの。しっかりして!」


・・・大事な十夢まで危険にさらした
全部・・・・わたしのせいだ




「ぅ・・・ぅぁああああ」
「優花?」

「十夢、ごめんね。大好き、愛してる」
「は?こんな時に、、ちょ、優花、ど、どこいくのっ!」


ごめんなさい、みんな
ごめんね、十夢
だけど、今、私ができることはこれしかないから



わたしは走った。後ろを振り向かず走った


目の先に、さっき私が撃った死体があった。

(これくらいの距離でいいかな)

呼吸も整わない内に、近くにあった車のクラクションを大きく鳴らした


(ほら、こっちだ、みんなこっちにこい!)

私の思惑どおり、音に反応した歩く死体たちは、私の方にむかってきた

(よし、そうだ、ここだ、みんなここにこい!)



遠くに仲間の姿が見えた
そして、優子さんはこっちに向かって走りだそうとしていた


「来るなーーーー。」



来ないで下さい。優子さん・・・・・



「みんなーーー、未来へむかってーー、生きて、くださーい」


大きく手を振ると、崩れ去る十夢の姿が目に入る


(あ~あ、最後にハグしときゃよかったな)


心残りはあるけど、これでみんなを守れるのならば

後悔はない




ばいばい・・・十夢。私の愛しい人