「っくそー全然減らねーじゃねーか」
田野と、大勢のウォークを倒しながら身を隠す
みんなに追いつくには乗り物が必要になるが、なにせこの数だ
普通の車なら囲まれてしまうだろう
丈夫な車を探すか
減るのを待って、動く車を探して出るか
銃弾の残りを確認しながら、考える
何かきっかけがあれば
そうだ、音で一か所に集めて、その間に逃げる
「優子さん、あれ!」
「あぁ、お前も同じ事考えていたか」
お互いに顔を見合わせて笑いあう
2人の目の先にあるもの
大きなTVモニター
街が平和で、にぎやかな頃は
その大きな画面には、今人気のアイドルが歌って、踊る映像が、にぎやかに流れていたっけ
「よし、私が行って、音を流してくる」
「ちょっと待って下さいよ。私も行きます。ダメだと言っても、ついて行きますから」
「ははは、分かったよ。よし、行くか」
「はいっ」
少しだけ、希望が見えた
けど、それは幻だったのか
◆◆◆
4階建ての建物。どの階に映像スタジオがあるのか
また、この建物内に、どれくらいのウォーカーがいるのか、外からは全くわからない
目に見えるものは、その建物の周りに居る、大勢のウォーカー
「中の様子が全く見えない。こりゃ、まいったな」
だがここから出るには、この作戦しかない
「まずは入り口をどうにかしよう。いちかばちかだ。中のウォーカーは、あたし達だけでいけるだろ?」
ニヤッと笑うと、同じように田野も笑った
動きがにぶくなる時間まで様子をみて、建物へ近づく
何時間も観察していたが、中はそんなに数はいない感じだ
「よし、もう一度確認だ。まず入り口を封鎖して、中のウォーカーを倒していく。あたしは音をどうにかするから、田野は逃げ道を探しておいてくれ。映像が流れたらすぐに脱出だ」
「わかりました。ところで入り口ですが、私、考えがあります」
「お?なんだ?」
「これです」
田野のポケットから出てきたのは手榴弾
これなら1発で入り口を閉鎖できそうだ
「うん、そうだな。これでうまく壁が崩れてくれればいいが。やってみなきゃわかんねーか。よし、行くぜ」
「はいっ」
“ドォーン”
大きな音と共に崩れる壁
それらがうまく入り口をふさいでくれた
中にいたウォーカーが、音に反応して集まってきたが
それを田野と必死になって倒していく
幸い、思っていたよりも数は少ない。だが彩の件もある
油断しちゃいけない
「ここからは単独行動だ。田野、絶対気を抜くなよ」
「はいっ。優子さん、気をつけて」
「お前もな」
この建物で仕事をしていた人達は、どこ行ったのだろうか。うまく逃げてくれてればいいが
誰もいないドアを開けながら、そんな事を考えていた

