「よっ、みーちゃん、調子どう?」
「・・・あ、たかみな」
「ん?みーちゃん、目が赤いけど?大丈夫?」
「あはは、なんでもない、ゴミが入っただけ。あ、それよりもっ!」


ニヤッと笑ったみーちゃん


「さっき、信号を拾ってさ、交信してたんだ。、もうここに向かってるんだって」
「へ?だれが?」
「さ~?8人来るってさ」
「来るってさっ。って、みーちゃん、大丈夫なの?」
「全然、大丈夫だって」
「なんでわかんのさ」
「え?んーと、勘」
「はぁ?」


「まぁまぁ。それよりヘリで来るから、空地で出迎え宜しく~」
「ヘリ?ほ~操縦できるって大した奴だ。よし、わかった。行ってくる」
「はーい、いってらっしゃーい。その人、ヘリの操縦だけじゃなくて、なんでも出来ると思うよ」
「へ~すげっ。」


相変わらず、いたずらっ子のような笑みを浮かべたみーちゃん


今日は陽菜の家におじゃましよっかな~なんて独り言を言って、明らかにウキウキしてる
いつも変だけど、今日は特に変だなと思いながら、空地へ向かった





指定させた場所で待機してると、遠くからヘリの音が近づいてきた


(あれか)


久しぶりに聞くヘリの音と、頬に流れる心地よい海の風に瞳を閉じる


あれから、2年か・・・・


通信が回復したおかげで外の様子も把握できるようになっていた
ウォーカーの数も減ってきているという情報もはいってきた
そして、私達のように、新しい土地で生活している者もいる


2年の間に、この島にも何人か新しい住民がやってきた
そして今日、久しぶりに新しい仲間がやってくる


仲間が増え、その中で愛が芽生え、そして新しい命が生まれる


そうやって終わらない未来は続くのだ





ヘリが地面に降りると、プロペラの動きで、近くにある木々が大きく揺れる

小さくかがんで、急ぎ足で近づいてきた人
見た目はしっかりしてそうで、いい人そうだ


「はじめまして、桜井です」
「一応ここの責任者で、高橋といいます」


短い挨拶を終えると、桜井さんの後ろからゾロゾロと女の人達が下りてきた
島の様子に興奮した様子で、キョロキョロと動きまわる姿が可愛らしい


その様子を見ていると、ヘリのエンジン音が止まった


「桜井さんのメンバーには、ヘリ操縦できる人がいるんですね。桜井さんも?」
「あ、いえ、私は普通の民間人ですから、操縦はできません。実はこの場所も、その操縦してる人から聞いたんですよ。」
「え?そうなんですか?」
「はい、怪我の後遺症で記憶がなかったんですけどね、つい最近記憶が戻って。」
「記憶が・・・その方は、この場所をどこで知ったんでしょうか?」
「ふふふ、本人に聞いて下さい」
「そうですか。では、操縦してた方を・・・・・」


そこまで言って、私は言葉をとめた


きっと、操縦してる奴と、その助手席に座ってる奴は、ぽかーんと口のあいた私を見て笑っているだろう



あはは、いくらでも笑っていいさ


どうせ、また『相変わらず泣き虫だな、たかみな』って、茶化すんやろ?


くっそー、嬉しすぎて、涙でお前たちの顔がちゃんと見えねーじゃん



悔しいから言ってやる



「おせーよっ」ってな



(完)



◆◆◆ おまけイチャイチャ ◆◆◆


「にゃーにゃ」
「にゃーにゃじゃなくて、ママでしょ?」


何回教えても、陽菜の事を「ママ」ではなく「にゃーにゃ」と呼ぶ優菜

頭の方も、ゆうちゃんに似れば良かったのにと思っちゃう



「にゃーにゃ」
「はいはい、優菜もうちょっと待っててね」


今日はお隣の彩、みるきー夫妻からもらった野菜で、優菜の好きな肉じゃがつくり
彩も片腕というハンデを感じさせないくらい頑張ってる。相変わらず仲がいいのか、悪いのかわからないやりとりをする二人を見て、うらやましい気持ちにもなるけど、陽菜には、ゆうちゃんが残してくれた優菜がいる


包丁を握る陽菜の指には、ゆうちゃんとお揃いの指輪がはまっている。
優菜が生まれた時に、あっちゃんが渡してくれたゆうちゃんの指輪は、ネックレスに通して、陽菜の心臓に近い場所にある
それにふれると、近くでゆうちゃんを感じられる気がするから


「ゆーちゃ、ゆーちゃ、キャキャキャ」


台所にいる陽菜の耳に、優菜の笑い声が届く
写真でしか見たことのないゆーちゃんを、『ゆーちゃ』と呼ぶ優菜


「ゆーちゃ、ゆーちゃ」

「・・・・あはっ、ゆーちゃか~」


優菜の声と一緒に聞こえてきた声

忘れる訳ない

間違う訳ない。

この声・・・・・


陽菜はすぐに居間に走った


「・・・・・・」
「あはっ」

「・・・・あはっ、じゃないよ・・・ばか」
「あは、うん、ごめんね。えっと・・・ただいま」



おかえりの返事と同時に、陽菜は大好きな人の胸に飛び込んだ


泣きじゃくる陽菜の髪を、昔のように優しく、優しくなでてるその手を
もう二度と離さないんだから