「みんな本部と連絡とれないのは知ってるよね」
残ってるメンバー、そして加わったメンバーの前で優子が話し出す
「ねぇ、優子っ、本部は、私達を見捨てたの!?」
激しい口調でみーちゃんは優子に聞いた
きっとこの2日間、みんなが1番聞きたかった質問だ
「あぁ、本部は見捨てた」
誤魔化さず、はっきりと告げた優子の言葉に、何人かの仲間が涙を流した
信じてた場所からの裏切り
「基地本部でも感染者が出て被害がでた。そこで本部は基地を移動したんだ。他のエリアの隊員は何人か戻ってきてたんだけど、1番基地から遠いこのエリアに、救助ヘリを向かわせる時間はないと」
「そうそう、『多少の犠牲は仕方ない。』ってクソじじーがほざきやがって」
「珠理奈、口悪いで」
「そんな彩だって、そのクソじじーぶっとばしたくせに」
「え?クソじじーって・・・もしかして・・・長官を?」
「うん、そう『ふざけんな~』ってね、がつーんと右ストレート」
空に右ストレートを放つ珠理奈の姿に、さっきまで暗い顔をしていたメンバーから、笑みがもれる
「・・・お前達は、長官の命令に背いてここにきたのか?」
「あたりめーだろ」
ニッと優子が笑うと、側にいた他の5人も顔を見合わせて笑った
「最初に動いたのは優子さんだったよね。この二人が、ひと悶着起こしてる間に、物資を車に詰め込んでるしね」
「みんなも手伝ったくせに~。それとな、たかみな。ってオイ、泣くな~」
「ぅぅぅ、うん」
「私達だけじゃねーぞ。そろそろ・・・着くころじゃね?」
ニヤッと笑った優子の言葉と同時に聞こえてくる、にぎやかな声
顔なんか見なくても、誰かなんてすぐわかる。
同じ時を過ごしてきた仲間だから
「空軍より、美音、ともちん、みるきー、3名」
「海軍より、さしはら、きたりえ、ゆい、3名」
「陸軍より、ゴリラ率いる
「こらこら、優子、だれがゴリラじゃ、ウホッ。
「ぷっ、才加率いるチームKより、佐江、梅田、増田、田野、十夢、茂木、永尾、島田、9名」
かしこまって敬礼をしたメンバーだったが、すぐに残っていた仲間とハイタッチをしたり、ハグをしたりと、再会を喜んだ
それにしても
なんというメンツが揃っているのだろう
空、海、陸、実力は最上級の顔ぶれ
ブルッと身震いがする
「あと、たかみな~お前には特別な人を連れてきたぞ~」
「え?」
目の前に立つ先鋭隊員の後ろから
ずっと会いたかった顔が、そこにはあった
「あつ・・・こ・・・」
「ふふふ、泣き虫みなみ。来たよ」
久しぶりに感じる人のぬくもり
敦子からぎゅっと抱きしめられていた。
もう涙を止めることなんてできなかった
「今日、ここに来たメンバーは全員志願兵だ。危険を承知でここに来た。だが気持ちは同じだ。
私たちが守りたいのは、国の偉い人達じゃねぇ。愛する家族、仲間、そして、残された住民、見捨てる命なんて1つもねーんだ。だから、みんな生きてここから脱出するぞー」
優子の声に続き、力強くこぶしを突き上げる
「「「「オーーー」」」」
さっきまで意気消沈していたメンバーにも、希望の光が瞳に宿り、力がこもった拳が空に突き上げられた
「それにしても、おめーら汚ねーな。風呂でも入って、サッパリしろよ。そしてたっぷり寝ろ。・・・疲れただろ?お疲れさん、頑張ったな」
生きるか、死ぬかの毎日
言葉に出来ないほど疲れ切っていた日常
誰かに言ってもらいたかったのかもしれない
『お疲れ様』
『頑張ったな』
その言葉は、みんなの心に沁みこんでいった
同じ時期に入隊した優子
やっぱ、こいつは凄いよ
人を引き付ける力、希望を与える強さ、そして太陽のような明るさと不器用な優しさ
優子、そして今日集まってくれた戦友達に深々と頭をさげた
その横には、微笑む敦子がいてくれた
