「にゃんにゃん、おはよ。今日も可愛いね。好きー」
「ふふふ、ありがと」
入学式に一目ぼれをして、それから2年
あたしにとっては、初めての一目ぼれ、初めての初恋
お決まりのように繰り返される朝の挨拶に、あたしの本気な想いは全く届いていない
それもそうだよね。弱虫なあたしは、フラれるのが怖くて、離れていってしまうのが怖くて、いつも冗談のように言ってるんだから
もしも、この声が枯れるまで、叫び続ければ叶うとしたら
このノドがつぶれたってなんだって叫び続けてやる
100回伝えれば叶う。そんな『もしも』があるならば、1000回だって伝えるけど
そんな『もしも』なんてある訳なくて、うまくいかないそれを『片思い』って言うんだろうな
「でね、今日たかみながさー
いつもの帰り道、いまだににゃんにゃんの隣を緊張しながら歩く
沈黙になるのが怖くて、どうでもいいことをしゃべり続けてしまう
本当に言いたいことは、他にあるのに
そう思ってても、にゃんにゃんがあたしの話に、やさしく頷き聞いてくれるから
調子にのってしゃべりすぎてしまうんだ
「じゃ、またね、ゆうちゃん」
「うん」
いつもの分かれ道
いつもの挨拶
『またね』って、かえってく脊中を、今日までどれくらい見送ったんだろう
ほんとはね
もう少し、そばに居たいよ
独りで帰る、帰り路
目の前の幸せそうに歩く2人連れを足早に追い越した
こんな自分が悲しくて、情けなくて
出てくるのはため息ばかり
いったい、自分はなにやってんだろうなぁ
『友達のままでいいじゃん』、そういって何度、自分自身ををごまかしてきたんだろう
大好きな人に大好きだって
好きだから、会いたいだって
普通に言えたら、どんなにいいだろう
そう思ってても
傷つくのが怖くて、言い訳ばっかして
もし、自分の人生100年ならば、きっとあたしの100年は
にゃんにゃんでいっぱいなのに
こんなに沢山の『好き』があふれているのに
好きな気持ちだけは自信たっぷりで、けど、重要な事はごまかす弱い自分
もういい加減、こんな自分が嫌だ
・・・もう逃げるのはやめよう
何回フラれても
何度も告白する
あたしの100年の人生は、ずっとにゃんにゃんが存在するはずなのだから
「5分でいいから会えないかな。伝えたい事があるんだ」
握りしめた携帯電話、まだ左手が震えてるんだ
◆◆◆ ◆◆◆
「ゆうちゃん?」
「にゃんにゃん・・・」
誰にでも、一生に一度の大事な場面があるとしたら、あたしにとってそれは今
ありったけの気持ちを、今伝えよう
「陽菜、好き。大好きなんだ」
そう言ったらきみは
今までで1番可愛い顔をして
微笑んでくれた
『やっと、ちゃんと言ってくれた』
「100年初恋」シクラメン

