「うー、寒っ」
こりゃー明日も雪だな
空から舞い降りてくる雪を、教室の窓から眺めていた
「ゆーちゃん、帰ろっ」
試験を明日に控えたオレ達
やれるだけやった
後はこの努力の結果が、後からついてくるはずだ
「うん、帰ろっか」
1つの傘に二人並んで歩く
冷えた空気
握ってた陽菜の手を、自分のポケットにつっこむと
ふふっと笑って耳を真っ赤にする愛しい姫
「明日だねー」
「うん、そうだね。お互い頑張ろうね」
そんな事を話しながら帰る道のり
「あ、ゆうちゃん、あのね」
「ん?」
がさごそとカバンの中をさぐる陽菜の行動を不思議に見守る
「あ、あった。はい、これ」
「あ!」
照れくさそうに差し出されたそれは『合格』と書かれたお守り
「下手だけど、自分で作ったの」
「あはっ、ありがとう。全然、下手じゃないよ」
あらためてじっくりとそのお守りを眺めると、合格と書かれたその後ろに『ゆうちゃん♡はるな』と、書かれていた
あは、効き目がありそうなお守りだ
「あ、オレ、なんも用意してないや。ごめん、陽菜」
「ううん、いいよ。・・・じゃあさ・・・」
そういうと、周りをキョロキョロと確認した後、オレの顔を見て俯き
そっと自分の唇に人差し指をあて、恥ずかしそうに小さな声で言った
「別のお守り・・・くれる?」
「え?」
今度はオレが周りをキョロキョロする番だ
雪もけっこう降ってるせいか、人通りはほどんどない
俯いてる陽菜の肩に手を置くと、ゆっくりと顔をあげた陽菜に
チュッと軽く口づけた
「あはっ、効き目ありそう?」
「うん、きっとある」
「オレも」
それからまた、陽菜の手を自分のポケットにつっこみ歩き出す
これからも、こうして陽菜と一緒に帰れるように
絶対に受かりたい
◆◆◆◆ その後 ◆◆◆◆
「じゃ、陽菜、入学式が終ったら迎えにくるね」
「うん、待ってる」
「うわっ、やべっ。遅れる」
「ゆうちゃん、挨拶、頑張ってね」
「おう」
最後に大きく手を振ったゆうちゃんは
『英慶美高校』へ、自慢の足で駆けていった
