きらびやかなイルミネーション
足を止め、頬笑み合うカップル達
確か、去年のこの日、空には真っ白な粉雪が舞っていたっけ
その時、隣で真っ赤な頬にえくぼをうかべたあなたが『寒くない?』って聞いた後
陽菜の手を握って『来年も一緒に見ようね』って言ったね
わかってる、あなたの心が迷っている事
気づいてたの、ゆうちゃんとまりちゃんの距離が近くなっていることに
それでも気付かないふりをして、ゆうちゃんの側にいた
あなたは優しいから、そんな陽菜を受け止めてくれたけど
もう、あなたの瞳には陽菜はうつってないでしょ?
いつも、ゆうちゃんは素直な言葉を陽菜にぶつけてくれた
でも、陽菜は逆の事をしたり、優しい言葉をかけてあげたりできなくて
けど、そんな陽菜の事を、それでも好きって言ってくれてた
今日の約束なんてしてなかったけど、もしかしたら来てくれるかもという淡い期待があった。
でも、無情にも時間だけが過ぎていくだけ
ゆうちゃん、どこにいるの?
なにしてるの?
優しいまりちゃんの腕の中にいるの?
嫉妬と切なさで胸がギュウとしめつめられる
『陽菜、雪だよ、積もったらゆきだるま作ろうね』
『えー、めんどくさい。ゆうちゃん一人で作れば』
『陽菜、サンタさんから何が欲しい?あたしは陽菜からの、たっくさんの愛』
『なにそれ。陽菜、ブランドのバックが欲しい』
『陽菜』『陽菜』・・・
心の中で、ゆうちゃんが陽菜の名前を呼んでいる
陽菜は、ゆうちゃんが求める言葉を返して上げてた?
ちゃんと、ゆうちゃんを愛せてた?
過去を振り返ってみても、後悔しかない
今、陽菜がゆうちゃんにしてあげられることは何?
そんな事、考えるまでもないよね
握りしめていた携帯の画面をひらき
震える指で、文字を打ちこんだ
『友達にもどろ』
最後まで、素直じゃない陽菜の精一杯の強がりの言葉
送信ボタン、これを押してしまえば本当に終わりだね
『寒くない?』
ゆうちゃんの言葉を思い出す
「寒いよ・・・ゆうちゃん・・・」
空を見上げると、真っ白な粉雪が舞い降りてきた
「陽菜っ!」
・・・うそ
聞きたかった声、聞こえるはずなかった声
どんどん近づく足音
でも、振り向く事ができなくて
そんな陽菜の身体が、あなたの匂いに包まれ
後ろから回された手は陽菜の手を握った
「・・・ごめん、待たせて」
「・・・・ばか」
「うん、ごめん」
ばかなのは、陽菜なのに
何もしてあげなかった陽菜なのに
こんな陽菜に何度も「ごめん」を繰り返すゆうちゃん
「迷ってごめん」
「・・・陽菜で・・・いいの?ゆうちゃん?」
「陽菜じゃなきゃダメだ、あたし」
「陽菜も・・・陽菜もゆうちゃんじゃなきゃヤダ」
ゆっくり振り返ると、情けないくらい下がった眉毛
何度、陽菜はゆうちゃんにこんな顔をさせていたんだろう
「ゆうちゃん、サンタさんにもらわなくても陽菜があげる」
「へ?」
「たっくさんの愛を、ゆうちゃんにあげる」
「・・・あはっ」
そう言うとデレデレと、小さなおじさんになるゆうちゃんだけど
ゆうちゃんの全部が愛おしい
陽菜の精一杯の力を込めて、ゆうちゃんを抱きしめた
ねぇ、ゆうちゃん
今年のクリスマス、あったかいね
綺麗なイルミネーションと
優しい粉雪が
二人をつつんだ
