「ふふふ~ん、今日は~ゆっぴとカレ~♪」
上機嫌で台所に立つ篠田に、後ろの方から
「あはっ、なにその歌」
ケラケラと笑い声が聞こえてきた
AKBを辞めてしばらくたつけど、相変わらず篠田の側にある笑顔
まだ篠田がAKBにいる頃は、周りにばれないように苦労したっけ
あまり、側にいないように気をつけてるうちに、不仲説まで出てたくらい
でも、実際はそんな事なくて
「まりちゃ~ん」
「あー、ゆっぴ、そんなくっついたら危ないって」
「えー、ひまー」
「あと、少しで出来るから、大人しく待ってて」
「うん、わかったー」
ちょうど、二人の休みがかぶった今日は、愛しの彼女が、久しぶりに篠田の家にお泊りなのです
「はーい、出来たよ」
「うわー、まりちゃんのカレー久々~」
子供のようにキラキラした目で喜ぶゆっぴが、あまりにも可愛くて頬がゆるくなってしまうのは仕方のない事で
大好きなゆっぴを前にして、これまた大好きなカレーを口に運びながら、ゆっぴの話を聞く。
AKB卒業後は仲間達の話や、その他のイベントの話
思い出となってしまった仕事の話を、なつかしい気持ちで聞いていた
「もぐもぐ、そういえばさー昨日の握手会でさー」
口いっぱい詰め込み、それで話せるのか?って感じのゆっぴに
「うん、うん」と相槌をうってると
「優子ちゃんて、本当は篠田さんと付き合ってるんでしょ」って言う子が居てさ
「ぶっ」
「うわっ、まりちゃん、汚いぞー」
ケラケラ笑うゆっぴ
って、カレー噴き出しそうになって、咳き込む篠田を笑うよりも、大事なことあるんじゃないかい?
「ごほ、ごほ・・・なんで?」
「なんで?ねー、なんでその子、わかったんだろ」
んー、って顔を傾けてるゆっぴ可愛い・・・って見惚れてる場合じゃないか
「で、ゆっぴはなんて返したの?」
「んー、『内緒ね』ってウインク付きで返しといた」
・・・って、それある意味、認めちゃってるじゃん・・・
頭を抱え込んじゃった篠田を見て、ゆっぴは持っていたスプーンを下におろした
それから、八の字眉毛にしてこう言ったんだ
「まりちゃんは嫌?あたしは・・・嬉しかったな。あたしとまりちゃんが付き合ってるように見えたって事が、嬉しい」
しっかりと篠田を見つめ、真剣な顔のゆっぴ
何度この子は篠田の心をドキドキさせるつもりなのだろうか
事務所の関係や、いろんな事情
ましてや、篠田たちは同性同士
周りが認めてくれる訳なくて
それでも、気持ちがとめられなかった篠田が、ゆっぴに告白し、付き合いだして3年
ビジネスとして『こじゆう』が世間では公認された時は、すごく悔しくて
『本当は篠田のゆっぴなのに』って、何度も心で叫んでいた
そっか・・・ゆっぴもそうだったんだね
きっと、誰かに言って欲しかったんだよね
『優子の彼女は篠田だ』って
誰かに、認めてもらいたい気持ちは一緒だよね
席をたち、ゆっくりゆっぴに近づき
力いっぱい抱きしめて言った
「嬉しいよ」
小さなゆっぴは、篠田の胸に顔をうずめたまま
「『まりゆう』だね」って
ふふふって笑った
篠田の好きな食べ物、『カレー』
一生飽きることのない食べ物だと思う
そして、一生飽きることがないであろう篠田の彼女
だから、篠田は
カレーとゆっぴで
一生幸せ者なのです
