あんな事があった次の日の試合は最悪だった
優子も頑張って平然を装っていたけど、あきらかに弱ってる
麻里子も陽菜も罪悪感からなのか、ただ気まずいだけなのか、優子に声をかける様子もなかった
声をかけて欲しいとも思ってなかったから、麻里子にも陽菜にも「もう優子に近づくな」って言った


そして、そんな最悪のまま、高校最後の夏が終わった


4人いつもふざけて笑い声であふれていた日常


もうその声は聞こえてこない




あれから何ヶ月たった


優子は少しずつ元気になっていったけど、それは本当の笑顔じゃなかった
クラスが別だった優子が気になって不安だった
だから空いてる時間は優子に会いに行ったりして、出来るだけ側にいた
独りにしたくなかったから



麻里子と陽菜は独りでいることが多くなっていた

でも同情なんてしない
もっと苦しめばいいとすら思った



お昼、いつものように優子のクラスへ向かうと切ない顔をして外を眺めている優子
そっと近づき優子の視線の先を見た
そこに居たのは独りベンチに座る陽菜の姿


「優子」
「・・・あ、あっちゃん」


私の顔を見て笑顔をみせる優子

でもね、好きな人だから分かっちゃうんだ
本当の笑顔じゃないって


優子の見ていたものを気づかないふりしてお昼を食べ始める
でも、やっぱり優子の視線はちらほらと陽菜のいる場所へ
優子が気にする事ないのに。そう思っていたら


「あの二人、独りでいる事多くなったよね・・・」


寂しそうな表情をした優子がつぶやいた


「あ・・・そだね・・・でも、優子が気にする事ないよ」

少しだけ強い口調で言ってしまう。
だって、あんな事した二人には当然の罰だと思うから


「独りって・・・寂しいよ・・・ね」


まったく、この子は・・・あんな事した二人を心配してる?
それとも、もう二人を許したの?

私は、許せないよ!?


何も言葉を返せずにいた私に、優子はまた困った笑いをして

「やっぱ、あたしのせいかな」なんて言った


「なんで、優子のせいなの?悪いのはあの二人じゃん」


思ったよりも大きな声で怒鳴った私に、教室にいた何人かの目が向けられた


しばらく居心地の悪い沈黙が続いたが、ガヤガヤとまた騒ぎ出した教室の中で今度は静かに私は言った


「優子のせいじゃないよ」
「・・・・うん」


それでもまだ寂しそうに窓の外をながめる優子の顔に胸が痛くなった



私は、優子をちゃんと守れているのだろうか・・・



逆上がり(優子推し)