ゆうちゃんに会えなくなって半年が過ぎた
その間、麻里子は約束通り、一切手をあげなくなった
だけど、陽菜の気持ちはもう麻里子から離れていた
なのになんで一緒に居るのか・・・愛情はない、あるのは同情。それだけで繋がっていた
ゆうちゃんに会いたかった
何度も、ゆうちゃんの家の前まで行った事があった
けど、いつだったか、麻里子が「優子・・・彼女できたんだって」と言った
陽菜は何も返さなかった
迷惑をかけたくない。その思いから、ゆうちゃんの家を訪れることは無くなった
陽菜の事をこんなに好きでいてくれる麻里子に応えたかった
でも、いくら頑張っても・・・陽菜の中にはずっとあの優しい笑顔のゆうちゃんがいた
「・・な、陽菜!?」
「え?」
「・・・」
麻里子とデート中、ボーっとしちゃってた
そんな陽菜を切なそうにみる麻里子
「ごめん、なに?」
「ん・・・なんでもない」
「そ?・・・ね、今日、どっか食べに行く?」
「そだね・・・陽菜、どっか行きたいとこある?」
「麻里子の好きなとこでいいよ」
「・・・わかった」
しばらく考え込む麻里子が「んじゃ、陽菜がバイトしてた居酒屋とか行こうか」って言った
ゆうちゃんが辞めた後、陽菜もその後、辞めちゃったとこ
あそこは・・・ゆうちゃんとの思い出がいっぱいありすぎる
「んー・・・あそこは辞めよ」
「いいじゃん、んじゃ、20時にね。予約しとくから先に入ってて」
なかば強引に決められ、麻里子は家に帰って行った
約束の20時
店の前に立つ。もうゆうちゃんはこの中にはいないはずなのに、胸がドキドキした
店に入り、予約してた席につく
まだ、麻里子は来ていないみたい
キョロキョロ店内を見渡してみると、何人か一緒にバイトした子達がまだ居て、「久しぶり」って声をかけてきてくれた。もしかして、この中にゆうちゃんの彼女がいるのかなって思うと、心が痛くなった
10分過ぎても麻里子が来ない
メールしてみようと思ってカバンから携帯を取り出そうとした時に、人の気配がした
顔をあげると、口を開け呆然と立っているゆうちゃんがいた
声にならない驚き
先に言葉にしたのはゆうちゃんだった
「ま、麻里ちゃんに呼ばれてきたんだけど・・・」
慌てた感じで話す、ゆうちゃん
「そうなんだ、麻里子まだ来てなくて」
「そっか・・・どうしよ・・・」
「ん、・・・座って待ってれば?」
なんでもない風に言ってみたけど、心臓はドキドキしていた
「ん、んじゃ、失礼します」
他人行儀な言葉を言いながら席につくゆうちゃん
半年振りに見たゆうちゃんは少しだけ髪が伸びていて。でも相変わらずその顔を見ると心がホッとした
(なんで急に姿を消したの?)1番聞きたい事を心の奥にしまう
気まずい時間だけが過ぎていった
飲み物が来て、アルコールが体の中に入っていくと、少しだけ気が楽になった
「麻里ちゃん・・・最近どう?」
「最近?うん、優しいよ」
「そっか、良かった」
そういって、前のような笑顔のゆうちゃん
なんでそんな顔できるの?陽菜の気持ち知っていながら、急に居なくなって・・・
今更言っても仕方のない言葉だけがどんどん頭の中でかけめぐる
だけど、それを口に出してはいけない事はわかってたから
「麻里子とは、学校で話してないの?」
「あ、うん・・・全然だね。だから、今日、急に呼ばれてびっくりしたんだ」
何を考えているの?麻里子は・・・陽菜の気持ちを確かめるため?こんな残酷な方法で?
イライラして、麻里子に電話をかけた
