今回はF1のレースなどでよく聞くスリップストリームについて調べてみました!
素人の僕がある程度調べただけなので、一つのネタとして読んでいただけたら嬉しいです。
※スリップストリームをトウとも言いますがこの記事ではスリップストリームに統一します。
よくF1のレースを見ていると、写真のように後ろのマシンが前のマシンに張り付いていることがありますよね。ロシアGPのサインツもスタートの蹴り出しが悪かったのに対して前方ノリスのスリップストリームを使った事により、2コーナーでは前に出る事に成功しています。今回はナゼ速くなるのかを調べていきたいと思います。
A super start off the line for the Smooth Operator @Carlossainz55 🔥👊#RussianGP #F1 pic.twitter.com/JuZIKzByba
— Formula 1 (@F1) September 30, 2021
スリップストリームについて話すにあたって空気がとても重要なポイントになります。スリップストリームに入ると空気抵抗が減少、走行速度が大幅に向上し、結果としてオーバーテイクや追い上げのための強力な武器となります。
このスリップストリームの仕組みとしては、物体は前に進む際に空気による抵抗を受けます。これを空気抵抗と呼び、自動車が前に進もうとした場合空気がぶつかる事で車体を押さえつけたり速度を低下させたりするのです。その為、後続車両は更に速度を上げられるという利点が生まれるのです。 さらに空気抵抗を減少させるという事は、前面からくる抵抗を軽減させる事が可能となります。その為、後続で走る自動車は、前を走る車よりも速力を出す事が出来るかつ、タイヤに掛かる負荷も減少させる事が可能で燃料消費量を抑える事も可能なのです。
ただこれがトレイン状態(マシンが連なっている状態)になってしまうと一番前のマシン以外の後続のマシン全てがスリップストリームを使えてしまうので前後挟まれ動くに動けない事になってしまうのです。
それに、後続車は速度を上げられるメリットを受ける反面、車を地面に押さえつける空気抵抗(ダウンフォース)も減少してしまう為、車を安定させる空気抵抗の恩恵を受ける事が出来なくなるというデメリットもあるのです。
それが、なぜデメリットであるかですが、自動車は速度が増せば増すほど空気の抵抗を受け、自動車のボディの形状によっては車体が浮かび上がろうとします。ただF1マシンは乗用車などと違ってわざとフロントウィングやエアロパーツなどをつけてダウンフォース(空気抵抗)を強制的に発生させ、車を地面に設置させているのです。
この車体が浮かび上がってしまうデメリットですが、ストレートではそこまで関係がなくてもコーナーに入ると話が変わってきてしまうのです。F1マシンはエアロパーツをたくさんつけることによって、コーナーの速さが他カテに比べて異常に速いマシンに出来あがっています。そしてそれらの空力マシンである現代のF1カーは、”キレイな空気”=乱れのない空気がマシンにぶつかることを想定して設計されているため、乱気流下ではダウンフォースを大幅に失ってしまいます。
そしてスリップストリームに入ったままコーナーに突入してしまうとダウンフォースが無いままコーナーを曲がらなくてはいけなくなるので真後ろの車はタイヤのグリップのみで曲がらなくては行けません。これを繰り返すとタイヤを早く消耗してしまい、順位を上げづらくなってしまいます。
さらに長くスリップストリームを使いすぎると、エンジンやブレーキ等の冷却(空気による冷却)が十分に行われなくなり、これらがオーバーヒートする可能性が高まります。スリップストリームはうまく利用すべき後続マシンの特権ではあるが、追い抜くべきところで追い抜けないと自身の首を絞めかねない諸刃の剣でもあるのです。これがよくレース中に一度スリップストリームをワザと外れたり距離を開けている理由です。
この写真はメルセデスのモナコとモンツァのマシンセットアップの違いです。写真を見ると空気抵抗が必要なモナコはリアウィングを立てて、逆にモンツァでは寝かせてストレート重視なのが分かりますね。F1チームはコースの特徴やドライバーの好みに合わせてFP1〜3にかけて最適なセットアップを見つけ出すのです(現代ではシミュレーターなども使われている)。
さらにF1にはDRS(リアウィングを開ける)というデバイスの導入が認められています。これは前のマシンに1秒以内だと作動する権利を取得でき、作動時のみに一時的にダウンフォースを減らせるという仕組みです(レーススタート直後や、ウェットでは使用不可)。
DRS未作動↓ DRS作動時↓
ただ来年から導入される新規定のマシンではこの乱流を減らしてオーバーテイクを促進しようと言うコンセプトがあるのでもしかしたら来年からは話が変わってくるかもしれません。
このような感じでスリップストリームについて書いてみましたが上手くまとまっているか心配です笑。ただこのスリップストリームはストレートでは仲間でも、コーナーでは乱流に変わって敵になってしまいます。
参考にした動画: