先日、F1ジャーナリストのAlbert Fabregaさんがリアウィングのライトについてとても興味深い説明をYoutubeのF1公式にて解説していたので翻訳させていただきます。

元動画: 

 

 

 

みなさんもF1をテレビなどで見る際にF1マシンのリアウィングが赤色で点滅しているのをよくみませんか?

実はこの点滅には全て意味があり、そしてその理由により、点滅の仕方なども変わってきます。今回はそのライトがどのような理由で点滅しているのかを、Albertさんの解説をもとにお話ししたいと思います。

 

 

  1.   ウェット時

一番よく見るのがウェット時の点滅です。これは水しぶきなどによって後方のドライバーの視界が悪くなる際に前方の車がどこにいるかを教えてくれます。この場合ライトは1秒間に4回点滅します。

Pirelli to conduct wet weather test in the final session of 2022 Barcelona  running | Formula 1®

 

  1. ピットリミッターON時

2つ目はレース中によく見るピットレーンで速度リミッターをONしている時に点滅します。ピットレーンの速度制限はサーキットによって変わりますが、ほとんどは80kmか60kmです。この場合ライトは1秒間に2回点滅します。

 

  1. デプロイ切れ

3つ目はマシンのデプロイが切れている時に点滅します。F1ではERS(エネルギー回生システム)で回生した電気エネルギーの量やその配分(どこでどう効率的に使うか)、またはエネルギーを放出することを指します。現在のPUはこのERSからかなりのパワーを出力しており、デプロイに問題があると急減速する可能性があります。この場合もライトは1秒間に2回点滅します。2022年の開幕戦でSC開けにフェルスタッペン車のリアウィングが点滅していたのもデプロイ切れが原因だと考えられます。

  1. SC, VSC時

セーフティーカー又はバーチャルセーフティーカー時にもリアライトは点滅します。この場合もライトは1秒間に2回点滅します。しかしSC、VSC中はマーシャルポストなどでドライバーが安易に状況を確認できる為、常に点滅する訳でわなくレーシングディレクターが導入を決めた後の10秒間のみ点滅します。

 

 5. リフトアンドコースト

現在のF1は給油がないため、燃費走行が必要になってきます。この時にドライバーが多用するのがリフトアンドコーストです。リフトは「アクセル(スロットル)から足を浮かせた(踏まない)状態」を示し、コースト「惰性で走る状態」ジェットコースターと同じです。F1のフルブレーキングは4Gを超える加速度で急制動しますが、コーストの状態でも1Gくらいのエンジンブレーキが利くそうです。市販車のフルブレーキングに匹敵します。ただしそのダラダラ走行は後方のマシンに危険を伴うため、アクセルオフした際ブレーキランプの替わりにテールランプが点滅します。

 

 6.  初心者マークの緑ライト

最後は特殊ですが、F1参戦に必須なスーパーライセンスを所持していないルーキードライバーなどがフリー走行に走る際に緑色のライブが常時点滅します。

 

エアボックスのライト

実はリアウィング以外にもチームクルーやマーシャルにマシンの状況を知らせるライトがエアボックス上部のカメラに付いています。ここにはカメラを一周回るように7つのライトが取り付けてあり、これは360度どこからも確認できるようになっています。

 

1. 緑色のランプ

緑の場合はシンプルでマシンに電気の異常がなく正常に止まっている場合に点灯します。ガレージなどでマシンが停止している際によく点灯しています。

 

2. 黄色のランプ

黄色の場合はマシンの電気システムになんらかのトラブルがあるが、漏電などの心配はなく通常の作業ができる際に電灯します。

 

3. 紫色のランプ

紫色のランプの場合はドライバーがピットリミッターをONにしている時に点灯します。

 

4. 赤色のランプ

赤色のランプは電気系統になんらかの重大な問題があり、感電などの危険性がある場合です。このランプが点滅している場合マーシャルなどは特殊なグローブを装着又はチームのメカニックが到着するまでマシンを触ってはいけないサインです。

そしてこの赤色のランプは他の色と違い点滅します。これは目の不自由な方などが色の識別をせずにランプの点滅を見ることで危ないと判断できるようにだそうです。

 

このエアボックスについてるランプは周囲の人に知らせる為についており、乗っているドライバーからは直接見えません。そのためドライバーもどの色が点灯しているかすぐ分かるために、ステアリングにもランプが内蔵されています。

 

シャシーのライト

シャシーのフロント付近にもライトが取り付けてあります。このライトは主にマシンがクラッシュした際に点灯します。

1. 青のライトが一つ

青のライトが一つだけ点灯している場合はそこまで大きな衝撃がなく全てが正常である際に点灯します。ライトは6秒点灯した後に消え、また点灯を繰り返します。

 

2. 青のライトが素早く点滅

青のライトが素早く点滅はマシンの衝撃が15Gを超えており、マシンはドライバーの大きなダメージがある場合に素早く点滅します。この場合マーシャルなどはメディカルチームが到着するのを待ちます。

もしこのシャシーのライト、そしてカメラボックスの赤ライト両方が点滅している場合はかなり大きいダメージがある可能性があることを示します。

 

以上が動画で説明された事です。僕自身全く知らないところまで語られていて、今後のF1観戦では、マシンに付いているライトにも注目したいなと思いました!