二黄卵

鶏卵を割った際に、たまに卵黄が2つ入っていることがある。このような鶏卵を二黄卵(「におうらん」、俗に言う双子卵)と言い、その殆どは産卵開始後間もない若鶏の産んだ卵である。産卵開始直後で排卵 のリズムが一定しない時期に複数の卵黄が連続して排卵される事で出来てしまうが鶏のごく普通な生理現象であり、薬物投与等の人為的方法で作り出されることは無い。外見が普通の卵よりも細長く全体的に尖り、大きさや重さが飛び抜けているため、産卵開始後間もない若鶏しかいない養鶏場であれば比較的簡単に見分けられる。

後述「鶏卵のサイズ」のとおりスーパーマーケット 等にてパック詰で販売される鶏卵は重量で選別されている。このため若鶏しかいない農場から出荷された鶏卵のうち重いものばかりが選ばれると「パックの大半が双子」などということになり、「薬物投与が行なわれているのではないか」という苦情が保健所 に寄せられることもあるらしい。

工業製品に例えると「規格外の不良品」になるため、品評会でも確認され次第失格 となる。しかし食品 として何ら不都合な点は無く、むしろその珍しさ(1羽の鶏が産卵を開始してから廃鶏 として淘汰されるまでに二黄卵を産む確率は僅か1~2%といわれている)から縁起物として、農産物 の直売や通販 などでは付加価値も付く。ただし有精卵 であっても、二つの が発育スペースを奪い合う形となる事で双方とも発育の途中で死んでしまい、普通なら孵化 することはない。

非常に稀に、卵の中に通常の卵黄一つと、石灰化が不十分な小さな卵が一つが入った、二黄(二重?)卵もある[1]

鶏卵のサイズ(日本)

市販されている卵は、パック詰鶏卵規格により、1個あたりの重量によってランク付けがなされている。また、サイズごとに異なる色のラベルが指定されている。

LLサイズ 70g以上76g未満
Lサイズ 64g以上70g未満
Mサイズ 58g以上64g未満
MSサイズ 52g以上58g未満
Sサイズ 46g以上52g未満
SSサイズ 40g以上46g未満

比較的低価格の商品では、上記のようなサイズ分けをしないでパックに詰めたものも市販されている。

鶏卵の鮮度

産み落とされてからの日数の経過に伴って鶏卵には様々な変化が生じる。そのうちの主要なものは濃厚卵白の水様化、カラザおよび卵黄膜の状態の変化である。濃厚卵白の水様化とは卵黄のまわりの卵白のこんもりとした盛り上がりが消える現象である。また、カラザおよび卵黄膜の変化によって、卵を割り落としたときの卵黄の形が扁平なものになり、さらに卵黄が破れやすくなる。そのままの状態で放置すれば腐敗するが、長年放置すると石のように白く硬化する。

鶏卵の鮮度は、実用的には、ハウユニット卵黄係数 によって表示される。ハウユニットは濃厚卵白の水様化に着目した指標であり、卵黄係数は卵黄の形の扁平さに着目した指標である。

ただし、近年の鶏の品種改良により日数が経過してもハウユニットの高さが変わらないものも開発されており、ハウユニットの高さによって鮮度が決められるわけでもなくなっている。

鶏卵とコレステロール

鶏卵を1日2個以上食べると体によくないと信じている人は多い。その根拠は1913年ロシア の病理学者ニコライ・アニチコワ らが、草食動物のウサギ に卵を与えたところ、大動脈コレステロール が沈着して動脈硬化 を起こした実験からきている。ウサギによる高コレステロール食品の摂取は自然界においては非常に稀であり、無論酵素等も少ないといえる。そのためウサギにコレステロールを投与した場合、そのまま血中コレステロールに反映して濃度が急上昇することがわかった。アニチコワらの実験は草食動物に卵を与える実験であって、雑食動物 に対する結果ではないが、人間にもウサギと同様の作用を生じるとの誤解が生まれる原因となった。

この誤解は90年間にも渡って信じられていたために習慣化してしまい、卵は1日1個と信じている人は食品の専門家の中でも多い。実際には人間は などからコレステロールを摂取することに適応しており、摂取した量に応じて体内で合成する仕組みを持っているためコレステロール値を一定に保つことができる[要出典 ]

もっとも、以上はあくまで健常者の話であり、高脂血症 等の患者に関しては、個々の患者の生活環境及び症状にもよるものの、1日1個程度を目安として摂取することが望ましい。(症状によっては、さらに制限を指示される例もある。)近年では、コレステロールによる疾患患者で有っても、薬などでコレステロールのコントロールができる者には高タンパク食品である鶏卵を毎日摂取する様に奨める循環器系医師も多い。


現在は、鶏卵に含まれているレシチン が体内のコレステロールを抑え、動脈硬化狭心症脳卒中 の予防に役立つと注目されている。さらに、鶏の餌に粉末乾燥した納豆 を少量加えることにより卵黄に含まれているコレステロールを抑えた鶏卵が開発されている。


鶏卵と料理

鶏卵はその調理的性質によって、広く料理に使用される。その性質とは、熱凝固性、卵白の起泡性、卵黄の乳化性である。日本において一般的に鶏卵を食べるようになったのは江戸時代 とする資料が多い。但し、戦国時代 には戦場で野生の鶏を捕え、卵を生で食べていたようである。栄養価の高さから戦病者や病人、産婦によいとされている。

蛋白質の生体利用率は生卵で51%、加熱された卵では91%になる。つまり加熱された卵の蛋白質は、生卵の蛋白質と比較して倍近い吸収率を持つ[2]

鶏卵を使用した料理 の種類は次節のとおり多い。また、ケーキカステラ などの菓子 の原材料、天ぷらとんかつ の衣の材料などに使用される。