チャーハン(繁体字 :炒飯、簡体字 :炒饭、拼音 :chǎofàn)は白飯 を様々な具と共に油で炒めた料理。英語ではFried riceと言う。
概要
そもそもは中華料理 の点心 に含まれる一ジャンルであるが、様々なアレンジとともに日本にも深く浸透している。また類似の料理は東アジア と東南アジア で広く見受けられ、例を挙げれば朝鮮半島 ではポックムパプ、タイ王国 ではカーオパッ、インドネシア とマレーシア ではナシゴレン として定着している。中国語の音表記はチャオファンに近いが、日本語の上では中華風の味付けである物をチャーハンと呼び、類似する米飯料理を焼飯(やきめし)または炒飯(いためし)ないし炒めご飯(いためごはん)と呼ぶ場合もあるが、その区分は余り厳密ではない。
この家庭料理の範疇である焼飯の類は、西洋風焼飯(こちらは本来では米飯を炒めるのではなく、生米を炒めてから底の浅い鍋で水分が飛ぶまで米をダシで煮たもので、今日では別種の料理として認識されるパエリア の仲間)とも言われるピラフ との混同も見られ、日本ではピラフと言うと大抵はこのチャーハンを洋風にアレンジした料理である。
電子ジャー(ご飯の保温器)普及以前から、冷めてしまった残りご飯の利用法としても便利なため、家庭料理としても人気が高く、また簡易的なチャーハンを作るための具材をセットとした物や冷凍食品 ・インスタント食品 など、幅広い製品が出回っている。(後述 )
日本などでは一般に、米飯ないし米 は飯粒同士がくっついて塊と成りやすい粘り気のあるものが好まれるが、チャーハンの場合では飯粒同士がくっつかない方が好まれるため、箸 では食べにくい。このため国内の中華料理屋及び各家庭ではレンゲ もしくはスプーン が用いられる。
なお、関西地方にはお好み焼き、あるいは焼きそばを商う店で焼き飯を供している場合がある。これはチャーハンとは異なる料理で、粉モノの延長線上にある料理である。焼きそばと同様に、鉄板で具を炒めた後にご飯を焼き、最後に玉子を絡める(玉子を入れない店もある)。ソースで味付けをすることが多い。
作り方の一例
基本となる材料は米飯 ・卵 ・食用油 ・塩 ・胡椒 とされるが、地域によっては卵を入れなかったり、塩ではなく醤油 やソース の場合もある。北陸地方 ・沖縄県 ・関西地方 などの地域により様々なバリエーションが存在する。具材を変化させることにより多くのバリエーションが生まれる。
また、特定の具材の割合を多くするとそれだけでバリエーションになる。より香味をつけるためにネギ 、ハム 、ベーコン 、チャーシュー もしくは海老 、カニ なども追加される。そのとき具材はできるだけ小さなみじん切りにする。あまり大きいと、具が偏り易く飯と混ざらないためである。
見た目を重視してコーン やグリーンピース ・ピーマン (人によってはパプリカ )なども追加されることが多い。また、最近では納豆 やキムチ 、高菜 、レタス などを入れるレシピが散見される。とろみをつけた餡 をかけるとまた食感に違いが生まれる。本格的な物では中華スープ を加えるなどバリエーションも多く、ピラフとの差異が曖昧になるが固形スープ(コンソメ )を砕いた物を加えたりしても良い。粉末状の各種香辛料 も好んで加えられる。
タイ のパイナップル 入り炒飯、「カーオ・パッ・サッパロッ」(ข้าวผัดสับปะรด)のように、フルーツ を入れる場合もある。
あらかじめ米は炊いておく。米飯は固まっているよりもパラパラしていたほうが食感がよいため、普通の白ご飯を炊く時よりも水加減を少なめにして炊くと良い。熱いご飯を使って炒めたほうが短時間で仕上がるため中華料理の炒飯のように香ばしく仕上げることが出来る。家庭用の火力の弱い焜炉 で冷やご飯を使うと鍋の温度が下がり調理に時間がかかるため、べちゃべちゃになってしまうので注意。冷蔵庫 で保存していたような冷やご飯を使う場合は、電子レンジ でほんのり加熱してから使用したほうが、飯がほぐれやすくてよい。余計な水分を飛ばせるので、冷凍させたご飯を使う方法もある。
食用油は新しいものを使わないと風味が悪くなる。油として無塩バター やラード ・胡麻油 などと言った味の強い物を使うと風味が増す。
- まずネギやハムなどといった具のみじん切りを十分に炒めいったん皿に取る。
- 充分に熱した中華鍋 (フライパン で代用可だが、テフロン 加工の場合は加工が傷むのでほどほどに)に食用油を入れ、溶き卵を入れる。
- 卵を使った料理の常として、卵が固まるに十分な、かつ火が通り過ぎない程度の時間で卵を加熱しなければならない。卵が完全に固まらない10秒程度のうちに米飯を入れて炒め、飯粒に卵の皮膜をつくらせることで油の吸収を防ぎご飯がベタベタの団子状になるのを防ぐ場合もある。
- 塩・胡椒、醤油等で味を調える。炒めたみじん切り具材を鍋に入れて米飯と混ぜ合わせる。
丸い形容器の中に入れて皿に伏せて完成。
家庭料理として
工夫次第で様々な食材を利用できることから、冷蔵庫 の残り物を処分できて、また短時間に手軽に作れるという理由から、家庭料理 としてもチャーハンの人気は高い。家庭によって味付けが異なり、お袋の味ともなっている。
多くの家庭では前日の残りご飯を使用する傾向が強い。これは、(近年の炊飯器 では標準機能となっている保温機能を使っても)1日経ったご飯は匂いがついてしまうため、これを調味料や香辛料でフォローする事も可能である部分にも関係するかもしれない。
火力の弱いコンロ(電熱器や型の古いIHクッキングヒーターなど)しかない家庭では、チャーハンに欠かせないご飯のパラパラ感、炒り卵のふっくら感を出すのは難しいといわれる。そのため、そのような環境でも美味しく作るコツなどが多くの家庭料理本で解説され、またテレビの料理番組 でもチャーハンの作り方の特集が組まれるなどしているが、この情報量の多さや、新型のIHクッキングヒーターのセールスポイントとして、美味しいチャーハンを作れる事が強調されるなど、人気の高さを示している。最近はご飯と卵を混ぜて(卵かけご飯 のようにした上で)、あるいはご飯とマヨネーズ を絡めて炒める(共に、ご飯粒を卵でコーティングし、炒めた後のパラパラ感を出す効果がある)という方法もテレビで紹介されて人気である。
中華料理屋のメニューとして
庶民的・大衆的な中華料理店やラーメン屋 では欠かす事のできない定番メニューで、メインメニューとしてもサイドメニューとしても需要がある。
単品のチャーハンは、庶民的な飲食店 では搾菜 (ザーサイ)や紅しょうが 、スープ がセットになっていることが多い。
半分のチャーハンは「半チャン」(はん-)と呼ばれ、半チャンラーメン
、半チャン餃子
という名のセットメニュー
は定番となっている。
チャーハンとラーメンを単品として同時に注文した場合、チャーハンのスープが省略されることも多い。
昨今はチャーハンに中華スープ をかけて食べるスープチャーハンも本格的な中華料理店を中心に人気がある。
インスタント食品として
電子レンジ 、フライパン などで加熱するだけでできる冷凍食品 のチャーハンがスーパーマーケット ・コンビニエンスストア などで売られている。一部では飯粒にラードなどの食用油脂を噴霧して冷凍する事で中華料理店並みの御飯のパラパラ感を実現し、「自家製チャーハンより美味しい」といわれるような商品まである。これらでは、一食分がパックになったものも多く、喫茶店 などの軽食を提供する準飲食店 では、業務用(パッケージが市販品と比べ簡素化され、そのぶん安価である)のこれを利用するケースもある。
日本では粉末調味料とフリーズドライ 食材を一袋にしたパウダー 状インスタント食品の「チャーハンの素」も発売されている。これは炒り卵と米飯を油を引いたフライパンで炒めた後にこれをかけることで、「いかにもチャーハンらしい」見た目と味になるという物である。
その一方で、日清食品 よりカップ内に湯を注いで乾燥米飯を戻す「カップライス 」という商品が1970年代に販売されたことがあるが、湯きりが面倒であるなど、消費者には不評だった。
その他
チャーハンに使う米は、日本では粘り気の高いジャポニカ米 を使うが、粘り気の低いインディカ米 で作ったほうがおいしいという声もある。実際にインディカ米で作る場合、日本では輸入米に極めて高額の関税 がかかるため困難である。
日本に於いて1990年代に発生した米不足ではタイ米 が一定量輸入され、日本製の炊飯器 でこれを炊いた消費者が不評を述べるケースもあったが、これを鍋で茹でて湯きりをして蒸らし、更に炒める事で、充分(もしくは日本の米以上に)美味しく食べられたとする声も聞かれる。(→1993年米騒動 )
レタスをチャーハンに入れるのは1980年代初頭に熊本県 八代地方 で流行し始めたものである。 (発明の経緯は「若い独身男性がチャーハンの具材に偶々あったサラダの余り物のレタスを入れてみたのが始まり」といわれる。)但し香港などでは、レタスが入っているチャーハンは以前から存在している。