母が亡くなり

そろそろ1ヶ月が経とうとしている。

 

 

 

 

 

わたしの毎日は

仕事で忙しく過ごしているせいか

母が亡くなった実感はあまりない。

 

 

 

 

 

遺影に手を合わせたり

お水やお茶を供えたりすることは

もう淡々とした日常だ。

 

 

 

 

 

だけど

何気ない日常の中で

ふと母を思い出すときがあって

そんなときは

「おかあさん」と

声に出して、つぶやいたりする。

 

 

 

 

 

そのときは切なくなる。

 

 

 

 

 

今までは普通に

「おかあさん」と呼んでいたのに

そう呼べる人が

この世にいなくなったんだなと感じて

切なくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

施設に居る父には

週1で、パンとおやつを差し入れているのだけど

先週は、苺ヨーグルト

今週は、プリンにした。

さて来週は何にしよう。

父は、何を差し入れてもらったのか

全然覚えていないので

同じものでも差し支えないのだけど

まあ、わたしの自己満足で。

 

 

 

 

 

 

 

 

今週も、父に

「おかあさんは?」と聞かれ

 

 

 

 

 

「おかあさんは、よその施設に行ったのよ」と

わたしは嘘をつく。

 

 

 

 

 

「今日は施設のみんなで、お花見に行くらしいよ」

「お天気が良いから楽しんでると思うよ」と

もっともらしい嘘をつく。

 

 

 

 

 

父はプリンを食べながら

(プリンを、ぽろぽろ こぼしながら)

「そうか、そうか」と言う。

 

 

 

 

 

父がどこまで解っているのか分からない。

知らない振りをしているだけなのかも知れない。

 

 

 

 

 

そうだとしても

わたしは、ずっと

母は余所の施設に行ったのだと言い続けようと思う。