母の居る施設へ行くと

母は

ベッドの上で

ひとり大声を上げていた。

 

 

 

 

 

トイレへ行きたい

トイレへ行きたいと言うのだ。

 

 

 

 

 

退院後

施設では

母の要望通り

1日に何十回もトイレ介助していたらしいが

行ったところで

排泄するわけではなく

行って、戻って

ものの1分もしないうちに

また

トイレへ行きたい、トイレへ行きたい

と言うらしい。

 

 

 

 

 

施設の医師は

内科、泌尿器科、というよりも

精神科の分類かも知れないと言う。

 

 

 

 

 

ケアマネさん

施設の責任者さん、介護福祉士さん、看護師さんと

今後のことについて、いろいろと話をした。

介護のこと、費用のこと、その他のいろんなこと。

 

 

 

 

 

今、飲むこむことが難しくて

口に入れても、すぐに出してしまう。

 

 

 

 

 

常温のカフェオレを飲ませてみたら

少しだけ飲んだ。

ストローで吸い込む力は弱いけど

でも吸える、よかった。

 

 

 

 

 

母は

目の焦点がぼやけていて

まばたきも少なく

けれど

わたしのことは認識していて

みゆちゃん、みゆちゃんと呼んでいた。

そして

トイレに行きたい、係の人を呼んでほしい

と、ひとしきり言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

入院する前は

もっと元気だったのに。

 

 

 

 

 

自分でインスタントコーヒーを作ったり

洗濯物をたたんだりしていたのに。

 

 

 

 

 

まだら惚けはあったけど

まあまあ普通の会話はできていたのに。

 

 

 

 

 

なんで、こんなに弱ってしまったのだろう。

 

 

 

 

 

入院させなければよかった。

胸が痛い。

 

 

 

 

 

とにかく少しでも

「食べる」ことが重要なのだけど

なかなか難しい。

小さい、一口サイズのアイスでも

4分の1ほど食べるのが精一杯みたいだ。

飴は、危ないから無理。

どら焼きや、マフィンも無理。

小さく刻んだチョコレイトなら大丈夫かも知れない。

介護福祉士さんが、刻んで、あとで食べさせてみるとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

先日、高熱が出た父は

今は、まあまあ元気になっていて

たくさんパンを渡したら喜んでいた。

でも、発熱がそうとうツラかったらしく

ちょっと気弱になっていた。

 

 

 

 

 

後ろ髪を引かれながら

施設を後にした。