









赤ワインにはオリが溜まる
どんな上質なそれにも、ソレは溜まる
それは不要で飲み残すもの
マズくて苦いカスのようなもの
赤ちゃんの笑顔 はしゃぐ子供
まぶしくて愛おしくて
シュワシュワはじける炭酸のようで
フレッシュなフルーツジュースのようで
羨ましくて見とれてしまう
それは無邪気で無防備だから
全くオリなど溜まっていないから
あの頃に戻れるものなら。。。
人のこころにも年々溜まる
年をとるほど溜まっていく
経験が増えるほど溜まっていく
静かに静かに積もっていく
いつの間にか降り積もる雪のように
ある朝、窓を開けると一面真っ白で驚くかもしれない
いつのまに、こんなに降り積もったのか
溜まったオリを 積もった雪のように真っ白に
眩しく輝く美しいものに変えられたなら
そうだ、雪だって核となるチリがなければ
結晶とならないのだ
ボトルいっぱい、心いっぱい溜まったオリを
踊らせないように 巻き上げないように
そっとそっと 生きていく
フレッシュなボージョレヌーボもいいけれど
ビンテージものには早摘みには出せない味がある
深みがある まろやかさがある
複雑な個性が生きている
長い月日を経なければ出せない魅力がそこに生まれる
目利き、舌利きにはたまらない価値となる
そんな年代物になれたなら
オリさえ年を重ねておいしくなった証になる
そんなビンテージになれたなら
一生かけて取り組まなくてはならない神様からの課題
人生最大の難問
答え合わせは死んだ後?
正解も不正解も
私の中に 味となって染み出していく










