重い腰を上げて帰ろうとすると、
母が私に自分の携帯のチェックを
するように言ってきた。
docomoの広告メッセージを消す、
たったそれだけのこと。
もう配信停止にしてやりたい。
いつも家に帰ろうとすると言うので、
毎回ちょっとイライラする。
でも、なかなか頼みにくいから
いつも帰る前に言ってくるのだろう。
ちょっとイラっとして携帯を触っていたら、
母が「もう落とさないでよ。」
「〇ちゃんはすぐ落とすんだから。」
と言った。
そこでブチっとキレた私。
「じゃあ、そんなこと頼まないでよ。
自分でやればいいでしょ。
私だって好きでやってるわけでもないのに。」
と、声を荒げた。
そう言った私に驚いた母は、
目をまんまるくしていた。
キレる中年娘…
さすがにまずいと自分でも思ったので、
「なんてね。
ごめん、ごめん。
大事に扱わせて頂きますね。」
と笑ったけれど、
母の驚いて、少し怯えたような顔が
忘れられない。
私はもやもやしていたので、
弟にあまり優しくなかった母に
ちょっと意地悪を言った。
「独居老人って淋しいし、
不安になるし、
そうなるとどこかおかしくなるんだよ。
自分だってそうだったんだから、
(叔父に)もっと優しくしてあげて。」
と…
母は自分はそんなことはないと
言いたそうに、
(岡山の)家に引っ越しておいでと
言ったのに、来ないで、
今の家に引っ越したのは
叔父の選択だったのだから
(今の状況は仕方ない)と言った。
叔父だって、母が一緒に暮らそうと
言えば考えただろうけれど、
母は東京に行き、
結局ひとりで暮らすのに、
ベースとなる土地や家を変えるのは
嫌でも当然のことだろう。
そんなこともわからないの?と
思ったけれど…
逆を言えば、母だって
こうして遠くから引っ越してきて、
私と息子の食事やお洗濯の
面倒を看て…
それだけでいっぱいいっぱいなのに、
叔父のお世話まで手が回る訳がない。
そうだよね。
母の気持ちも考えてあげないと
と反省した。