私は自転車で通勤している。


いつものようにブイロクを熱唱しながら通勤した。


会社の近くに、スターバックスがある。



ブイロクを口ずさみながらおもむろにスターバックスを覗くと、

おっさんが座って、

コーヒーを飲んでいた。


コーヒーを飲んでいたんだが、両手で飲んでいた。

マグカップだったので、右手に取っ手を持ち、左手はカップを支えるように添えていた。

何度も言うが、
両手でしっかりカップを持ち、飲んでいた。



彼を見て〈コーヒー飲んでる〉という表現では、ちょっと言葉が雑すぎる。


「コーヒーを嗜んでいる」だ。


彼はコーヒーを嗜んでいるように見えた。
ダバダ〜のCMオファーをしたいくらいだ。

違いの分かる男に見える。


そして、どこからどう見ても、彼の周りだけはゆっくりとした時間が流れてる。

朝の慌ただしさや、
はよ信号変わらんかい!などと信号に対しても暴言を吐いてしまう私のことなど、どこ吹く風というように、彼の時間はゆっくりと流れ、その中でコーヒーを嗜んでいる。


もはや彼にとって、スターバックスでの時間は茶事に値するのであろう。


流れる時間の緩さ、お茶を嗜む姿勢。


彼の380円のコーヒー(予想)は、おそらくその空間に存在するどの人類よりも、価値を持っていたと思う。
両手で飲むんだから、その価値を持っていて当たり前だろう。


私もそういう人になりたい。
茶事を楽しめる心の余裕を。

希望を込めて…
ケンジます。



アメニモマケズ
カゼニモマケズ
シカラレテモメゲズ
コウコクリョウシハライノ
イラヌトクソクニモクッセズ

クレームノアラシヲカキワケ

東に鍵交換あれば業者を飛ばし
西に雨漏りあればこれまた業者を飛ばし

自分で現場には出ずに(行っても意味ない何もできない)

解約と聞けば涙を流し
入居と聞けば共に喜び

朝になれば起きて茶事を行い
余裕を持って出社し
昼には人より飯を喰らって(大盛り希望)
夜に家に帰り、暗がりでパンイチになって
(昨日電球買った!)

例えデクノボウと呼ばれても

ニコニコと笑っている。


そういうものに私はなりたい。