これは針ネズミ、シアンの長い一日の物語である。
朝7時、僕は人間で言うと、眠い目を擦るような感覚で、包まっていた背中をモゴモゴと左右に動かしながら起き上がった。
「ふぃあ~、よく眠ったっぽ」
大きく深呼吸すると、
僕の大好きな匂いが漂よって来た。
鼻をくすぶる香ばしい匂いに連れられ
てとてと歩く僕の姿は、多分他から見ればさぞかし勇敢に映っていただろう。という勘違いをよそに、僕の飼い主である「あきこ」お姉さんは、時折笑いながら、リモコンを片手にテレビを観ていた。
「あきねーちゃん、ねーねーあきねーちゃん」
僕は、ご飯を食べたら元気がでてきて、無性に遊びたくなってきた。
「遊ぼうよ。」
あきねーちゃんは、毎日僕の面倒を見てくれる優しいお姉さんだ。
最近は、にらめっこという遊びを覚えたんだ。ぐーぉう。(口を大きく開いてるだけ)へ、へ面白いでしょ?でもね、あきねーちゃんのがもっと面白いんだから。ぐってしてごあ~って感じ。わかる?わかんないよね。
そうもしてる内に、電話がかかってきた。あきねーちゃん、は着信音に反応するかのように顔色を変えた。僕にはすぐにわかった。電話の相手が誰なのか。きっと「りょうた」お兄さんだ。
つづく
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