男が道を歩いていると、散歩中の犬が寄って来て、おしっこを掛けられてしまう。飼い主は恐縮しきりで、飼い犬の不始末を必死に詫び、弁償を申し出る。
男「いえ、構いません。丁度、足元が寒かったので、却って助かりました」
男が更に歩いて行くと、後ろから引ったくりに遭い、手持ちの荷物を奪われてしまう。
男「まぁ、いいか。さっきから重たく感じてたし、その分、身軽になったから・・・」
そうして、男が軽快に進み出すと、猛スピードで突っ込んできた自動車に撥ねられてしまう。加害者の運転手が心配そうに駆け寄り、身を案じて来る。
男「そんなに謝らないで下さい。僕なんか丸で役立たずで、自分が遣りたい事も特に持てなかったし、何と無く死にたかったから、絶好のタイミングでした。一切、未練は有りません。逆に有難う御座いました」
男は死んだ。そして、気が付くと、天国への入り口に立っていた。しかし、管理人らしき相手からは、定員オーバーを理由に、入るのを断られてしまう。
男「分かりました。天国なんて、元々、分不相応だし、申し訳ないくらいだから、身を引きます」
男は自らの意思で、地獄へと落ちる。しかし、赴いたはいいが、結局、門前払いの扱いを受ける。
地獄の門番「お前みたいな奴に与える罰は無いな」
男は、困り果ててしまう。地獄が駄目なら、もう、何処にも行くところが無いからだ。
地獄の門番「お前には、屹度、現世で遣り残した事が有るんだろう。一旦、戻って、すべき事をしてから、又、来な」
男「一体、何を・・・?」
地獄の門番「身近なところを言えば、おしっこを引っ掛けた犬は鍋にして、食っちまうんだ。引ったくりの野郎は捜し出して、半殺しの目に・・・。車で轢いた奴は殺して、此処に、一緒に連れて来ればいい」
男「犬に罪は無い。僕の荷物を盗んだ人も、罪を自覚しているからこそ逃げたんだし、実際、悪気は無かったんだと・・・。僕を車で轢いた人なんか、あれ程、僕を心配してくれたし、到底、責められないよ」
地獄の門番「じゃあ、一旦、天国へ引き返して、入り口にいた野郎を、こっちに、地獄に突き落とせ。奴は、“店員オーバー”なんて嘘を吐いて、体よく、お前を追い払った悪党だ」
男「あんたの方を信じろ、と・・・?」
地獄の門番「天国にいるからって、善良とは限らない、、、、連中は大らか過ぎて、“罪悪”の概念を持っていないだけ・・・。結局、俺が一番、親切だったろ?」
男「だったら、僕を、僕の存在を消してくれ」
地獄の門番「我々は、人に罰を与えるのが役目だ。お前が本気で望めば望む程、それは叶えられない」
男「如何したら・・・?」
地獄の門番「もし、“定員オーバー”云々の話が事実とすれば、奴がいなくなると、一つ、空きが出る訳だろ? 我々としては、お前は受け容れられないが、奴なら引き受ける、、、、収まるところに収まる・・・。これが、バランスってもんだ」
男「そうすれば、必然として、僕も地獄に入れて貰える訳か・・・?」
地獄の門番「陥れようとしているみたいに言わないでくれよ? お前は、そのまま、天国に留まればいいだろ?」
男「善意だろうと、悪意だろうと、自らが動かないのなら、結局は一緒、、、、何も無いのと同じ・・・」
地獄の門番「それを知った上で、、、、さぁ、如何する?」
男「とりあえず、、、、負い目に付け入って、犬の飼い主をデートに誘おう」
男「いえ、構いません。丁度、足元が寒かったので、却って助かりました」
男が更に歩いて行くと、後ろから引ったくりに遭い、手持ちの荷物を奪われてしまう。
男「まぁ、いいか。さっきから重たく感じてたし、その分、身軽になったから・・・」
そうして、男が軽快に進み出すと、猛スピードで突っ込んできた自動車に撥ねられてしまう。加害者の運転手が心配そうに駆け寄り、身を案じて来る。
男「そんなに謝らないで下さい。僕なんか丸で役立たずで、自分が遣りたい事も特に持てなかったし、何と無く死にたかったから、絶好のタイミングでした。一切、未練は有りません。逆に有難う御座いました」
男は死んだ。そして、気が付くと、天国への入り口に立っていた。しかし、管理人らしき相手からは、定員オーバーを理由に、入るのを断られてしまう。
男「分かりました。天国なんて、元々、分不相応だし、申し訳ないくらいだから、身を引きます」
男は自らの意思で、地獄へと落ちる。しかし、赴いたはいいが、結局、門前払いの扱いを受ける。
地獄の門番「お前みたいな奴に与える罰は無いな」
男は、困り果ててしまう。地獄が駄目なら、もう、何処にも行くところが無いからだ。
地獄の門番「お前には、屹度、現世で遣り残した事が有るんだろう。一旦、戻って、すべき事をしてから、又、来な」
男「一体、何を・・・?」
地獄の門番「身近なところを言えば、おしっこを引っ掛けた犬は鍋にして、食っちまうんだ。引ったくりの野郎は捜し出して、半殺しの目に・・・。車で轢いた奴は殺して、此処に、一緒に連れて来ればいい」
男「犬に罪は無い。僕の荷物を盗んだ人も、罪を自覚しているからこそ逃げたんだし、実際、悪気は無かったんだと・・・。僕を車で轢いた人なんか、あれ程、僕を心配してくれたし、到底、責められないよ」
地獄の門番「じゃあ、一旦、天国へ引き返して、入り口にいた野郎を、こっちに、地獄に突き落とせ。奴は、“店員オーバー”なんて嘘を吐いて、体よく、お前を追い払った悪党だ」
男「あんたの方を信じろ、と・・・?」
地獄の門番「天国にいるからって、善良とは限らない、、、、連中は大らか過ぎて、“罪悪”の概念を持っていないだけ・・・。結局、俺が一番、親切だったろ?」
男「だったら、僕を、僕の存在を消してくれ」
地獄の門番「我々は、人に罰を与えるのが役目だ。お前が本気で望めば望む程、それは叶えられない」
男「如何したら・・・?」
地獄の門番「もし、“定員オーバー”云々の話が事実とすれば、奴がいなくなると、一つ、空きが出る訳だろ? 我々としては、お前は受け容れられないが、奴なら引き受ける、、、、収まるところに収まる・・・。これが、バランスってもんだ」
男「そうすれば、必然として、僕も地獄に入れて貰える訳か・・・?」
地獄の門番「陥れようとしているみたいに言わないでくれよ? お前は、そのまま、天国に留まればいいだろ?」
男「善意だろうと、悪意だろうと、自らが動かないのなら、結局は一緒、、、、何も無いのと同じ・・・」
地獄の門番「それを知った上で、、、、さぁ、如何する?」
男「とりあえず、、、、負い目に付け入って、犬の飼い主をデートに誘おう」