今日も又、ニカは、修行に明け暮れる日々を送っています。




ニカ「絵を描く? 魔法使いにとって、そんなの、必要ないじゃないですか? ぶっちゃけ、やってらんないですね・・・」

パリス「お前は、文句ばかりだな、、、、しかも、あれだけ、ヘマを為出かしときながら、全く、反省が無い・・・。やってられないのは、私の方じゃぞ」

ニカ「先生の説明が足りないから、いつも失敗するんですよ」

パリス「お前は、私の下で修行しているからと言って、必ず、魔法使いになれるものと、勘違いしているみたいじゃが、、、、現在は、適正を見極めようとしている段階に過ぎん。幾ら、能力に長けていようとも、それを制御し、正しく活用する心の強さを身に付けられなければ、資格無しと見做して、放出され兼ねないのだ・・・。少しは、己の立場を理解しなさい」

ニカ「・・・はい・・・」




勿論、そういう気分になれない日も有るのですが、、、、偶には・・・。




パリス「魔法を思い通りに扱うには、“イメージする力”が大切なのじゃ。それが正確でなければ、当然ながら、不完全な作用を引き起こしてしまう、、、、例えば、皿一枚を念動するのに、皿そのものは移動できても、その絵柄が付いてこなかったり・・・。これは、イメージが不足している訳で、サイコキネシスに頼り過ぎた結果じゃ。お前は、このタイプだな? 普通は、“場”に留まろうとする物質の意思が働き、ビクともしないもの、、、、猶も、その“場”から無理に引き離そうとすれば、物質は自らを破壊し、砕け散る・・・」

ニカ「その自爆を防ぐのには、圧倒的なパワーと、驚異的なスピードが必要となる、、、、ですよね?」

パリス「目的は、物質の移動じゃ。本来の意義を成さぬ以上、お前の場合、他人からは、『別の皿と取替えただけだ』と揶揄される、出来損ないのマジックでしかないのだ」

ニカ「・・・・・・」

パリス「画力を具える事で、“イメージする力”は養われる、、、、安定的な魔法の実用が適う筈じゃ」

ニカ「・・・何を描けば・・・?」

パリス「とりあえず、好きな動物を、、、、この最下級生のクラスで、その皆と一緒に、な」

ニカ「何で、今更・・・?」

パリス「お前は、実質、このレベルに過ぎないからじゃよ。さぁ、他の子達は既に取り掛かっておる、、、、お前も始めなさい」




ニカは不貞腐れてしまい、やる気が出ません。尚且つ、余り、絵が得意では無いので、落書き程度の猫を適当に描いて、後は、その上に突っ伏して、寝入ってしまいます。

さて、規定の時間が過ぎ、パリスは、作業の停止を命じます。その声に応じて、ニカも涎を垂らしながら、起き出します。




パリス「満足な出来栄えに達していない者も居るだろうが、与えられた、一定の時間内に仕上げるのも、この課題の、重要な条件じゃ。イメージは崩れ易い、、、、長く経過すれば、それだけ、最初の心象からは違ってしまい、全体のバランスが保てなくなる訳だ。そうした、悪い取り込み方では、出来損ないの魔法しか使えなくなる筈・・・。なぁ、ニカや?」




パリスは、教室内の笑いを誘いましたが、その出しに使われたニカ自身は、当然、気に入りません。




ニカ「個人の事を持ち出さなくても良いでしょう? 理不尽な悪意を感じます。それとも、あたしを槍玉に挙げなければ、クラス一つ、掌握する事も叶わない、とか・・・?」

パリス「確かに、下級生達にとって、お前は、良い反面教師になるからのう、、、、教える事に関して、私なんかよりも、余っ程、優秀なのに違いないわ」




教室内は、又、笑いが沸き起こりました。ニカは、益々、不機嫌になります。




パリス「おや、ニカや、、、、そんな絵で、良いのか?」

ニカ「構いませんよ。あたしのイメージ通りです。こういうのは、時間を掛ければ、良いってもんじゃないんでしょ?」

パリス「確かに、その通りじゃ」




この時、パリスがほくそ笑んだのを、ニカは見逃しませんでした。嫌な予感が走り、ニカの心は、不安に包まれます。




パリス「それでは、次の段階に進むとしよう。皆、自分が描いた絵を、今、此処で、実体化するのじゃ。勿論、魔法を用いて・・・」

ニカ「・・・は?」

パリス「下級生達でさえ、一度、聞けば、理解できるような事を、お前は・・・。他の皆は、もう、既に、作業に移っているのに・・・」

ニカ「何の為に・・・!?」

パリス「実体化した動物を、これから、三週間、飼って貰う為じゃよ」

ニカ「何の為に・・・!?」

パリス「魔法を使うに当たっての、自己の責任を知る為じゃ。だが、大して問題有るまい? 好きな動物を描いて貰ってる筈じゃからの?」

ニカ「汚ねぇ・・・!」

パリス「そういう言葉遣いの方が、余っ程、汚いわ、、、、ばか者が!」




ニカがパリスを嫌い、どれ程、無礼な振る舞いを働こうとも、両者の立場は“先生”と“生徒”、、、、結局、逆らえる道理は有りません。ニカは、落書き程度の猫を実体化し、三週間、一緒に暮らさなければならない羽目に・・・。




続く.......