妻は、台所の壁収納から、一本の包丁を取り出した。
刃の部分が微かに錆び付いている。これでは、役に立たない。
妻は、錆付き包丁を夫の許に持って行った。
夫:「ん? 何だ?」
妻:「研がないと、使えないみたい・・・」
夫:「・・・あぁ、分かった、、、、研げばいいんだな?」
妻:「お願い・・・」
夫は戸惑いながらも、台所に赴き、砥石を取り出し、水に漬けた。
夫:「純粋な鋼製なら未だしも、ステンレス製の包丁を錆び付かせるなんて、、、、手入れが悪すぎたな?」
妻:「ごめんなさい・・・」
会話は、これ以上、続かなかった。長い間、夫婦に在れば、珍しい状況でも無いだろう。
十分後、夫は砥石を水から取り上げ、濡れ布巾の上に置くと、水を掛けながら、砥石の上で、包丁の刃を滑らせ始めた。初めは力を込め、その後、掛ける水の量を減らしつつ、緩と研いでいく。途中、前後を入れ換えて、それを繰り返す、、、、刃先の向きに拠って、力を押す時に強め、引く時に弱めたり、押す時に弱め、引く時に弱めたりする。
やがて、役に立つ包丁として、切れ味が甦る。夫は砥糞を洗い流してから、それを妻に手渡す。
妻:「ありがとう、、、、これで使えるわ」
夫:「何を作るつもりなんだ?」
妻:「作る? ・・・そうね、強いて言うなら、未来・・・」
夫:「未来?」
グサッ!
妻:「こういう事・・・」
夫:「お、お前・・・!」
胸を一突きに刺された夫は、それ以上、意識を保つ事が叶わぬまま、床へと倒れ込んだ。この、相手の様子を、妻は血塗れの掌を頬に宛がいながら、冷たく見下ろしていた。
恐っ! 恐っ! 恐っ!
何で、こんなものを載せるのか? ・・・常に、その日毎の思い付きなんです。