大きな敷地を持つ、とある娯楽施設の中で、男の子が一人、きょろきょろ、辺りを見回しながら、彷徨っているのを、女性の職員が認めて、声を掛ける。
女性職員「如何したの?」
男の子 「お姉さん、、、、此処で働いている人?」
女性職員「うん、そうだよ」
男の子 「僕、落し物をしちゃったんだ・・・。探してくれないかな?」
女性職員「いいけど、、、、何を落したの?」
男の子 「お父さん」
女性職員「・・・うん、そうか・・・。じゃあ、お姉さんが探してあげるから、僕は、、、、お名前は?」
男の子 「勇、、、、度会 勇」
女性職員「じゃあ、勇クン、、、、別の場所で待っててくれるかな?」
男の子 「でも。。。。」
女性職員「勇クンより、お姉さんたちの方が此の場所に詳しいから、、、、そうしてくれない?」
男の子 「・・・分かった、、、、有難う・・・」
女性職員は、男の子を迷子センターに連れて行き、その後、場内アナウンスにて、“度会 勇クン”の父親に呼び掛けた(男の子の耳に聴き届かないよう、気遣いつつ・・・)。暫くして、父親は、迷子センターを訪ねて来た。
父親 「すみません、お手を煩わせてしまいまして・・・」
女性職員「いいえ、仕事ですので・・・。でも、良かったね、勇クン、、、、お父さん、見つかって・・・」
男の子 「うん」
父親 「本当に有難う御座いました。それでは、失礼致します」
女性職員「はい、お気をつけて・・・」
男の子 「お父さん、待って、、、、お姉さんに、まだ、お礼を上げてないよ」
父親 「お礼?」
女性職員「いいのよ、そんな、お礼なんて・・・」
男の子 「ダメだよ。一割分のお礼を上げなきゃいけない決まりなんだから・・・」
父親 「一割?」
男の子 「お父さん、、、、“一割”って、どのくらい?」
父親 「・・・物を十個に分けた内の、一つだけど・・・」
男の子 「うーん、、、、分けられない・・・」
女性職員「その気持だけで、充分、嬉しいから・・・」
男の子は頑なで、首を振ります。
男の子 「お父さん、今、齢、幾つ?」
父親 「30歳だけど・・・」
男の子 「その一割って?」
父親 「(アホにはならずに)3」
男の子 「僕、今、6才だから、、、、」
男の子は指折りながら、何かを計算し始める。
男の子 「仕様が無い・・・」
父親 「ん?」
男の子 「お姉さん、、、、僕が結婚してあげるよ」
さて、、、、カワイイ? 殴りたいムカつく? 貴方なら、どっち?
僕? 答えるまでも無いでしょう? 唯、一言、、、、これ、聞いた話に基づいてまして、、、、末恐ろしいガキですよ。
父親 「お前、馬鹿か!? 何、言っちゃってんだよ!」
男の子 「うるさいな。落し物は黙っててくれよ」
父親 「落し物? あぁ、そういう事か、、、、あのな、人間は、物じゃないんだ。それとな、【拾得者の報労金請求権】って言ってな、一割云々は、そもそも、拾い主の権利なんで有って、落し主の義務では無いんだよ。相手が『要らない』って事なら、如何しようも無いんだよ。つまり、法律でも、“善意の押し売り”なんてものは認められてない訳だな、、、、ざまあみろ」
女性職員「お父さん、、、、子供相手に、そんなムキに・・・」
父親 「いいえ、、、、コイツは、本気で、自分の母親まで口説き落そうとした奴ですからね、これを機会に、ビシッと言っとかないと・・・」
男の子 「・・・絶対、離婚させてやる・・・!」
女性職員「え?」
父親 「ほら、聞いたでしょ? こういう奴なんですよ、、、、あなたは、自分から近付いて行ったように思ってるでしょうけど、違いますよ。コイツの気を惹かせるような所作に拠って、近付けさせられただけです」
女性職員「はぁ・・・」
男の子 「だったら、何・・・? 僕の行動に、嘘が有っても、お姉さんの思いに、嘘が無ければ、全て、クリアだよ。お姉さん、、、、僕を疑っても、自分を疑わないで欲しい」
女性職員「はぁ・・・?」
父親 「そんな屁理屈、一体、どこで覚えてきた?」
お父さん、、、、あなたから以外に考えられないと思いますよ?