「初恋って、いつ?」
「物心が付いた時には、もう、、、、だって、相手はお父さんだもん」
「何だ、それ・・・」
「でも、本当だし、、、、大きくなったら、本気で、結婚したいって思ってたもん」
「で?」
「・・・“で?”?」
「如何だったんだよ、その初恋・・・?」
「お父さんだよ? 如何もならないよ」
「振られた訳か?」
「振られたって・・・」
「お前の気持、お父さんは知らなかったのか?」
「いや、知ってたけど、、、、ほら、『お父さんは、お母さんがいるから無理だ』とか、もっとリアルに、『お父さんと娘とは結婚できない決まりなんだよ』とか、そんな感じ・・・?」
「要するに、体よく断られた訳だ?」
「体よく、って・・・」
「それで、直ぐ諦めたのか?」
「諦めるも何も、、、、納得した、っていうか・・・」
「情けない、、、、一度や二度、断られたぐらいで、すごすご撤退するなんて・・・。そんなもん、改めて、自分の事を相手に認知して貰う為の前振りで、只の助走に過ぎないだろ? 突然、告白なんかされたら、向こうも戸惑うだけで、取り敢えず、リスクを避ける意味でも、無難に断ったりするさ。況して、彼女がいる状況なら、尚更の事だ」
「彼女って・・・、お母さんだよ?」
「本当に好きなら、相手が結婚してたって、関係ない、、、、ぶつかってけよ!」
「はぁ?」
「未だ好きなんだろ?」
「・・・好きだけども、それは、、、、」
「嫌いになんかなれないんだろ?」
「そりゃそうだけど、意味合いが、、、、」
「当時は未だ幼かったし、向こうにとっても、全然、現実感が足りなかったんだろうけど、、、、今は違う、、、、成熟した女性の一人として、その魅力に気付かない訳は無いし、それなりに、真剣に受け止めてくれる筈だ」
「もう、、、、馬鹿じゃないの?」
「これ、お前のケータイだな?」
「一寸、勝手に、、、、」
「当然、相手のケータイ番号も入ってる筈だな? 親子なんだし・・・」
「だから、その“親子”ってところが問題なんでしょ? ちょっ、、、何、無断で・・・!」
「ほら、繋がった、、、、出ろ」
「な、な、な、なに、、、、あ、お父さん? ううん、何でも無い、、、、きゃ! ちょっ・・・」
「すみません、娘さんの友人の者なんですが、、、、実は、娘さんが、お父さんに、如何しても伝えたい事が有るみたいなんですよ、、、、ええ、聞いてあげて貰えませんか? ・・・はい、はい、有難う御座います。今、替わります、、、、ほれ」
「如何しろ、って言うのよ?」
「正直に、気持を伝えればいいんだよ、、、、『未だ好きなんだ』って・・・」
「・・・あ、お父さん、、、、ごめん・・・。そう、あたし、、、、ごめんなさい、、、、うん、、、、それで、、、、昔、お父さんに、『結婚したい』みたいな事、言った事が有ったじゃん? その事で、、、、え? そういう事じゃなくて、、、、話せば、ややこしくなるんだけど、、、、忙しいんだ? でも、今後の事も考えると、もっと面倒だから、、、、ある程度、妥協してでも、早いとこ済ましちゃった方が良いような気も・・・。うん、・・・で、色々、省いちゃうけど、、、、実は、、、、未だ好きなんだよね、お父さんの事・・・。とにかく、そういう訳・・・。いや、本当、面目ないよ・・・。うん、改めて、、、、やっぱ、駄目かな? うん、、、、そうだよね、、、、うん、それは、、、、それは分かってる、、、、うん、、、、うん、、、、ううん、別に、何が有ったって訳じゃ・・・、うん、そう、、、、はい、、、、はい、、、、ごめんなさい・・・。じゃあ、また、、、、うん、夏休みには帰るよ、、、、え? ああ・・・、さっきの、、、、まぁ、友達、、、、五分前まではね、、、、ううん、“宜しく”なんて伝える必要は無いから・・・。分かった、、、、じゃあ、切るね? 、、、、バイバイ・・・」
「如何だった?」
「訊くまでも無いでしょうが!」




“初恋”に於いて、父親を持ち出すのが許せない、、、、という訳でも無いけど・・・(悪気は無いんだろうし)、唯、面白いと思って・・・(こっちは、完全な悪意だけどね)。