先祖代々、農業を営んでいる家に、近所の人が訪ねて来た。
「最近、お前んとこの息子を見掛けないけど、出て行っちまったのかい?」
「いや、、、、未だ居るよ」
「そうか、、、、こう言っちゃ何だが、折角、大学まで出たのに、先の無い農業なんかやる事は無いのになあ」
「俺も、そう言ったんだが、、、、頑固な奴で、自分の手で、日本の農業を復興させてみせる、そう息巻いてな」
「で、今、何処に・・・?」
「実は、最近、カラスが畑を荒らすようになって・・・」
「あれま、都会にいるもんだと思ってたけど、、、、こんな田舎にまで移動して来るようじゃ、相当、数が増えてんだな?」
「息子の奴が言うには、あいつらは賢いんで、普通の案山子なんか立てても、効果は期待できないらしい。そこで、逆に、それを利用して、人間が案山子の振りをして、立っていて、連中が近付いてきたら、動いて、驚かして、追っ払う、、、、という作業を定期的に繰り返せば、カラスのネットワークは広範囲に渡るから、此処の畑には近付かない方が良い、との情報を、自ずと広めてくれるようになって・・・、と、まあ、こういう手筈だったんだがな」
「上手く行かなかったのか?」
「息子が先陣を買って出てくれたんだが・・・」
「それで、塞ぎ込んで、閉じ籠ってるのか・・・」
「いや、カラスの連中が一向に近付いて来ないんで、、、、案山子の恰好のまま、彼是、二週間、畑に立ち続けてるよ」