ウミガメの産卵時に流す涙、、、、勿論、ご存知の通り、涙などでは無く、体内の余分な塩分を塩類腺から排出しているだけらしいです。

しかし、それだと、ロマンチックじゃありませんね。ウミガメの生態は、解明されていない部分が多いみたいなので、誤解されない形式で、多少、空想的に仕立て上げちゃいましょうかね。



メスのウミガメは、産卵が為、浜辺に上がって来て、適当な場所で、卵を産み始める。

「全く、何で、あたしだけ、こんな苦しい思いをしなきゃ・・・! あの宿六は、夢を追うとか、適当な事を言って、姿を消しちまうし、、、、やってらんないよ。今度、顔を見せたら、ギタギタの、スープの出汁にしてやるんだから・・・!」

そこに、オスのウミガメが口笛を吹きながら、呑気な態で、姿を現す。

「・・・あんた?」
「うお! お前、、、、何やってんだ、こんな所で?」
「何って、、、、そんな事、聞くもんじゃないよ・・・」
「そうか? でも、うん、会いたかったぞ」
「抜け抜けと・・・。そっちが勝手に居なくなったんじゃないか」
「当然、連れて行きたかったさ。でも、お前は身重の身体・・・、泣く泣く諦めたんじゃないか」
「・・・本当かい? それなら、ゴメンよ、変に疑ったりして・・・。あたしは、あんたにベタ惚れだからね、見境が付かなくなってしまうのさ」
「解ってるって、、、、そこが可愛くて、離れられないんじゃないか?
「あんた・・・」
「お前・・・」

両者は寄り添っていき、お互いに触れ合おうとする、、、、暫く、不器用な感じで、じたばたした後、オスのウミガメの方が苛立たしそうに、メスのウミガメを突き放す。

「やっぱり、駄目だ!」
「如何したんだい、あんた・・・?」
「俺は、お前と抱き合いたいんだ! それなのに、俺達の前脚は短過ぎる・・・」
「だ・き・あ・う?」
「抱擁する事さ」
「ほうよう、、、、ああ、ホウヨウね・・・、うん、ホうよウ・・・?」
「それを求めて、俺は、この海を彷徨い泳いだ、、、、だけど、大海原の中には、前ビレにしたって、皆、短過ぎて・・・、俺の思いを満たしてくれる相手は、何処にも居なかったんだよ」
「それで?」
「俺は、もう、陸に上がる事にした」
「あんた、無茶だよ! 干上がっちまうだけだよ!」
「お前には、悪いと思ってる、、、、でも、お前とじゃ、子供だって、短い手足でしか生まれてこない・・・、それじゃあ、不幸だ! 何も変わらない!」
「行っちまうのかい?」
「すまない・・・。新しい出会いが俺を待ってるんだ」
「あんた・・・」
「・・・元気でな」

この場から、ゆっくり、のろのろと立ち去るオスウミガメ、、、、メスウミガメは、暫時、それを見送りつつ、一粒の涙を流した・・・。



はい、これが、世に言う<ウミガメの涙伝説>です(ウソ)。

ロマンチックでしょ?